井上尚弥は今後数カ月間、
中谷潤人の最大のファンとなる。
理由は単純で、両者が勝ち続ける限り、スーパーファイトが現実のものとなるからだ。
ここ数カ月、井上尚弥と世界中のファンは、両者の対戦が手の届くところにあると認識していた。これを実現に近づけるために、中谷潤人は
最近WBCとIBFバンタム級王座を返上し、井上のスーパーバンタム級に階級を上げると発表した。
両者は
12月27日、サウジアラビア・リヤドのモハメド・アブド・アリーナで同じ興行に登場することになった。中谷潤人はセバスチャン・エルナンデス・レイエス(20戦20勝18KO)を相手にスーパーバンタム級での初戦に臨み、リヤド・シーズン大使の井上尚弥はメインイベントでデビッド・ピカソを迎え、再び4団体統一王座の防衛を狙う。
今月初め、元世界王者
ムロジョン・アフマダリエフがすべてを台無しにしようとした。だが井上尚弥(31戦31勝27KO)は名古屋のIGアリーナで相手を翻弄し、1
2ラウンドの判定で危なげなく勝利を収めた。
会場で熱心に見守っていたのは中谷潤人だった。井上尚弥の手が勝利を示して挙げられると、27歳の中谷は出口へ向かった。だが去る前に、井上は試合後のインタビューで彼に言及し、1万7000人の観衆を大いに沸かせた。
「12月にもう一つ勝とう」――アフマダリエフ戦を制した後、井上尚弥は中谷潤人にそう声を掛けた。
井上と同様に、中谷(31戦31勝24KO)も相手を蹴散らしてきた。今年も例外ではなく、
ダビド・クエジャル・コントレラスと
西田凌佑を容赦なく倒してみせた。
血と暴力を好むその気質だけが共通点ではない。両者はともにRingのパウンド・フォー・パウンド・ランキングに名を連ねている。最新の更新では、井上尚弥が3位、中谷潤人はその4つ下の7位につけている。
もし両者が拳を交えることになれば、ランキングでの浮上の機会と井上尚弥の4団体統一王座が懸かることになる。もっとも、それは魅力的に響くが、32歳の井上は先走りすぎるつもりはない。
歴史に残る日本人同士の激突に意識を向ける前に、井上尚弥はまず自分自身と、将来の対戦相手となり得る中谷潤人が、それぞれ目の前の敵に集中することを望んでいる。
井上は「互いに全力を尽くして、来年の東京ドームで素晴らしい舞台を作ろう」と言い加えた。