デビッド・ベナビデスはこれまでにも多くの厳しい試合を経験してきたが、11月22日はこれまでで最も過酷な夜になるかもしれない。
ベナビデス(30勝0敗、24KO)は、サウジアラビア・リヤドのANBアリーナで
アンソニー・ヤードを相手にWBC世界ライトヘビー級王座の初防衛戦に臨む。「リングIV」と題されたこの興行では、少なくとも4つのタイトルマッチが行われる予定だ。
本来いずれの試合もメインイベントを張れるカードだが、この夜の興行を締めくくるのはベナビデス対ヤード戦となる。
175ポンド級でリング誌ランキング2位のコンテンダー、デビッド・ベナビデスは、激しい戦いを何よりも好む。28歳のベナビデスにとって、父でありトレーナーでもあるホセ・ベナビデス・シニアは長年にわたってその代弁者を務めてきた。挑発的なトラッシュトークとデビッドの実力が相まって、これまでに数々のビッグファイトと見事な勝利を実現してきた。
チーム・ベナビデスは、2023年3月に元IBF世界スーパーミドル級王者
ケイレブ・プラントに12回判定勝ちを収めたことを誇りに思っている。その8か月後、ベナビデスは無敗の2階級王者
デメトリアス・アンドラーデを6回TKOで下し、圧倒的な破壊力を見せつけた。そして2024年2月1日には、デビッド・モレルに初黒星を与えることにも成功した。
ホセが息子に絶対的な自信を持っているのは言うまでもない。しかし、アンソニー・ヤードに関しては、まったく別次元の相手であることを理解している。
「アンソニー・ヤードは本当に“ビースト”だよ」とホセは今週
『ザ・リング・マガジン』に語った。「本当に優れた選手だし、パンチも強い。若くて全盛期にいる。今回の相手はデビッドにとって最も手強い相手になると思う。ヤードは超危険だよ。」
ヤード(27勝3敗、24KO)は多くを語るタイプではないが、その実力は結果が物語っている。2023年1月に
アルトゥール・ベテルビエフに8回TKOで敗れて以降、4連勝と勢いに乗っており、
直近ではリンドン・アーサーとの三部作を判定勝ちで締めくくっている。
3度目の世界タイトル挑戦で敗れることになれば、リング誌ライトヘビー級4位にランクされるヤードにとっては大きな打撃となる。一方で、ベナビデスにとっても批判を封じる必要があるという自覚がある。
昨年ライトヘビー級へ転向したベナビデスは、
オレクサンドル・グウォジクとデビッド・モレルに判定勝ちを収め、WBCのトップコンテンダーの座に就いた。グウォジク戦で獲得した暫定王座は、
ドミトリー・ビボルがアルツール・ベテルビエフとの3度目の対戦を目指して王座を返上したことで、正式な世界王座へと昇格した。
2月22日に行われたビボル対ベテルビエフ第2戦をリングサイドで見守り、勝者との対戦を視野に入れていただけに、今回のタイトル獲得は理想的な形とは言えなかった。しかしホセは、リヤド・シーズンでのデビュー戦となるヤード戦こそが、彼らの王座を正当に証明する機会だと考えている。
「アンソニー・ヤードのような選手に勝って、しかも印象的な勝ち方ができれば、誰もが俺たちを“本物のチャンピオン”として見るはずだ」と語った。