アイザック・クルス は、
ラモント・ローチ が土曜夜の試合後に語ったほど右手をひどく痛めたとは信じていない。
“ピットブル” の異名を持つクルス によると、ローチ も
ジェルボンテ・デイビス も、自分との厳しい試合で手のケガが動きを妨げたと主張しているのは「できすぎた偶然」だという。
ローチ と クルス はサンアントニオで多数決引き分けに終わり、ちょうどその4年前の同じ頃に、デイビス がロサンゼルスでの接戦の12回戦を判定で制している。
メキシコ出身のクルス は、
『ザ・リング』 のインタビューで、ローチ の手のケガについて懐疑的な姿勢を見せる。
「俺と厳しい試合をしたり、俺に勝てなかったりすると、みんな“ケガしてた”って言い出すんだよな」とクルス は言う。「ジェルボンテ を見れば分かる。あいつは俺と戦った時、『ケガしてたから思うように勝てなかった』なんて言ってた。で、今度はラモント も同じことを言う。どうも怪しいんだよ。」
ローチ は、右手に痛みを最初に感じたのは第5ラウンドだったと振り返る。それでもメリーランド州アッパー・マールボロ出身のローチ は、序盤の出遅れを克服し、打ち合いでも鋭さを見せ、タフなクルス に食らいついて WBC スーパーライト級暫定王座に迫った。
「正直、何が原因だったかまでは覚えていない」とローチ は試合後会見で語った。「でもコーナーに戻った時、父に『手を折った』と言ったのは覚えてる。で、次のラウンドに出た時に、相手のジャブをブロックした瞬間、めちゃくちゃ痛かった。… それでも右を投げようとはした。… チャンスもあったけど、本当に本当に手が痛かった。
『言い訳にするつもりはない。使えるものは全部使って戦って、成果も出した。大体のパンチをかわしたし、打ち返したい時は打ち返して打ち合いでも勝っていた。それ以外も相手のパンチを受けてかわしていた。言い訳めいたことは言いたくない。片手でも勝てるだけのパフォーマンスは見せたつもりだ。』」
レフェリーのジェームス・グリーン は、第3ラウンドでクルス(28勝3敗2分、18KO)にダウンを正しく認定した。バランスを崩したラモント・ローチ(25勝1敗3分、10KO)が倒れないように右グローブでキャンバスに触れた場面だ。グリーン は第7ラウンド、クルス がローチ の背中を不正に叩いたとして1点減点した。
一方、カーラ・カイズ(115-113)、マックス・デ・ルカ(115-113)、ザッカリー・ヤング(116-112)の3人のジャッジは、いずれも デイビス の勝ちと採点。ボルチモア出身のデイビス は試合後、自分はWBAライト級タイトルマッチの調整中に左手を痛めていたこと、その左手がクルス の頭頂部を何度も叩いたことで悪化したと語った。
「手のせいにはしたくない」とデイビス は言う。「やるべきことはやった。ボクシングとはそういうものだ。この試合に入る時点で手をケガしていたのは分かっていた。手のことはどうでもいい。俺はやるべきことをやっただけだ。」
Keith Idecは『ザ・リング』のシニアライター兼コラムニストだ。Xでは @idecboxing で連絡できる。