タイトルマッチが3試合──注目カードがぎっしり詰まった土曜の夜がやってくる。
幕開けを飾るのは、イギリス・ウェンブリー・スタジアムで行われる、
オレクサンドル・ウシク対
ダニエル・デュボアの四団体統一ヘビー級タイトルマッチ再戦。
DAZNのペイパービューで配信される。
初戦は2023年8月26日、ウシクが第9ラウンドTKOで勝利を収めた。
その敗戦以降、ウシクはタイソン・フューリーを2度下しており、初戦で四団体統一ヘビー級王者の座を獲得している。
一方デュボアもウシク戦の敗北を糧に3連勝中。なかでも2024年9月21日の
アンソニー・ジョシュア戦では第5ラウンドKO勝利を挙げた。
その夜の後半、国際ボクシング殿堂入りを果たし、
史上初の8階級制覇を成し遂げたマニー・パッキャオが約4年ぶりにリングに復帰。ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナにて、WBCウェルター級王者マリオス・バリオスと対戦する。配信は
Prime PPVで行われる。
パッキャオの前戦は2021年8月21日、
ヨルデニス・ウガスに判定(3-0)で敗れた試合だった。
バリオスは今回が2度目の王座防衛戦となる。初防衛戦は2023年11月15日、アベル・ラモスと引き分けている。
3つ目のタイトル戦は、WBCおよびThe Ringのスーパーフライ級王者ジェシー“バム”ロドリゲスと、WBO王者フゥメレラ・カフによる無敗同士の王座統一戦。舞台はテキサス州フリスコのザ・スター内フォード・センター。
DAZNで配信される。
ここからは、今夜行われる3つのタイトルマッチについて、CompuBoxが提供する主要なスタッツを紹介していく。
ウシク(23勝無敗、14KO)は初戦でデュボア(22勝2敗、21KO)を完全に封じ、相手のヒット数を290発中47発(命中率16.2%)に抑え込んだ。
第5ラウンドのローブローの後、ウシクはギアを上げ、第6ラウンド以降で176発中45発をヒットさせた。
ウシク戦を含む直近9試合で、27歳のデュボアは1ラウンドあたり平均44.4発を放ち、14.3発をヒット(命中率32.2%)。そのうちパワーパンチは21.4発中9.1発(42.5%)となっている。
IBFヘビー級王者デュボアは、キャリア最高の内容となったジョシュア戦(第5ラウンドKO勝ち)を経てこの試合に臨む。
その試合では、デュボアは196発中79発(命中率40.3%)を当て、そのうちパワーパンチは96発中49発(51%)と高精度を記録した。
ウシクの数字は一見派手ではないが、1ラウンドあたり平均44.9発を放ち、13.7発をヒットさせている。
デュボアと同様にウシクもパワーパンチの精度が高く、1ラウンドあたり20.5発中8.7発(42.4%)を的確にヒットさせている。
38歳のウシクが真価を発揮するのは、試合後半だ。
第11〜12ラウンドでは、ウシクは平均68発中23発(33.8%)を当てており、そのうちパワーパンチは36発中16発(44.4%)と際立つ。
フューリーとの2戦では、第10〜12ラウンドにおいて初戦で47対26、再戦で58対45と、終盤にウシクが手数と命中数で大きく上回っている。
ジョシュアとの2戦でも、ウシクは再戦のラスト3ラウンドで79対29、初戦の第10〜12ラウンドで54対33と圧倒していた。
マニー・パッキャオ(62勝8敗2分、39KO)は年齢を重ねても、依然として高い手数を維持していた。
大きな変化が見られたのは、パンチの正確性と打ち分けの比率だった。
エイドリアン・ブローナー、キース・サーマン、ウガスと対戦する以前の17試合で、46歳のサウスポーは1ラウンドあたり平均57.6発を放ち、19.2発(33.3%)をヒットさせていた。
しかし、最後の3試合では平均57.5発中12.1発(21%)と、命中率が大きく低下している。
最後の3試合ではジャブの使用頻度が大幅に上昇した。
ブローナー、サーマン、ウガス戦ではジャブを1ラウンドあたり33.1発放っており、それ以前の17試合での23.6発から大きく増加している。
その影響でパワーパンチの数は減少。過去3戦では平均24.4発中7.9発(32.4%)だったのに対し、それ以前の17戦では34発中15.3発(45%)と、こちらも顕著な差が出ている。
マリオス・バリオス(29勝2敗1分、18KO)は、直近3試合で平均56.81発を放ち、16.97発をヒットさせている。その中にはウガスに対する判定勝ち(3-0)も含まれる。
ヒットさせたパンチの中でも、ジャブはバリオスの最大の武器。1ラウンド平均で37.03発のジャブを放ち、10.11発を命中させている。
30歳のバリオスはパワーパンチを多くは打たないものの、直近3試合では34.7%という高い命中率を記録している。
パンチの“質”でバム・ロドリゲスに勝るファイターはいない。
ジェシー・“バム”・ロドリゲス(21勝無敗、14KO)は、チャンピオンレベルのボクサーの中でジャブの命中率(39.5%)、パワーパンチの命中率(28.2%)、総合命中率(48.9%)でいずれもトップを誇る。
さらに、プラスマイナス(被弾とヒットの差)ではWBCライト級王者シャクール・スティーブンソンに次ぐ全体2位につけている。
25歳のロドリゲスは、1ラウンド平均で59発中23.3発をヒットさせており、そのうちパワーパンチは32.3発中15.8発を命中させている。
フゥメレラ・カフ(11勝無敗3分、8KO)はロドリゲスよりもやや手数は多いが、命中率では大きく劣る。
1ラウンドあたり65.5発中13.6発をヒットさせている。
また、ボディへの攻撃にも重点を置いており、彼のヒットのうち実に36.9%が胴体へのパンチとなっている。
26歳のカフは、1ラウンドあたり33.5発のパワーパンチを放ち、10.1発を命中させている。