ブライアン・ノーマンJrは、3月29日のデリエック・クエバス戦で爆発的かつ印象的な勝利を収めたが、
先月東京での佐々木尽との一戦では“年間ノックアウト候補”と称される一撃で世界の注目を集めた。
しかし実は、チーム・ノーマンは全力を出さずにキャリア最高の2連勝を達成していたという。
WBOウェルター級王者であるノーマンJrの父でありトレーナーでもあるブライアン・ノーマンSrは、普段から息子に対し、表では目の前の相手に集中させながら、裏では別の戦略を練っている。
そして今のところ、その戦略はすべて完璧に機能している。父ノーマンによれば、息子は実際にはまったく別の相手を想定して準備していたにもかかわらず、あの激しいKO勝利を実現させていたのだという。
「佐々木やクエバスの準備をしていたときでさえ、実は俺が本当に準備していた相手は――ジャロン・エニスなんだ」とノーマンSrは『Tha Boxing Voice』に語った。「俺はその試合が必要なんだ」。
エニスと
ノーマンJrは、長らくお互いを意識し合いながらも対戦には至っていない。もともとはスパーリングパートナーとして関係を築き、その後同じ階級のライバルへと発展。過去12か月間、エニスはWBO王者であるノーマンJrとの対戦を実現させようと試みてきた。
しかしノーマン親子は、エニスのプロモーターであるエディ・ハーンからのオファーに満足せず、それが“ブーツ”ことエニスに方向転換を促す結果となった。エニスは、無敗のWBA王者
エイマンタス・スタニオニスとのIBF・WBA・リング誌による147ポンド(ウェルター級)王座統一戦へと舵を切った。
エニスは
リトアニア出身のスタニオニスを下し、再び印象的なパフォーマンスを披露した。その後、今後の進路については少し時間をかけて考えると語っていたが、無敗の強豪を相手にキャリアをさらに強化したいという希望もあった。
しかし28歳の彼は、長年苦しんできた減量との戦いを経て、ついに
正式にスーパーウェルター級(154ポンド)での活動を決断した。
そのため、少なくとも当面の間はノーマンJrとの対戦が実現する可能性は低い。エニスは現在、自身の健康を最優先にし、154ポンドで世界のトップファイターたちとの対戦に目を向けている。
一部では、エニスを倒すのはほぼ不可能だとも言われているが、ノーマンSrは映像を見続け、その動きの傾向を分析する中で、「攻略可能なチャンピオン」だと見ている。
「俺にはあいつを倒す方法が何通りもある。本当に、何通りもな」と語った。