ブライアン・ノーマン・ジュニアの環太平洋遠征は、これ以上ないほど順調なものとなった。
ハードパンチャーのWBOウェルター級王者ノーマンは、木曜夜に東京で行われた試合で佐々木尽に多彩なパワーパンチを浴びせ、初回に2度のダウンを奪い、第5ラウンド序盤には挑戦者を容赦なくノックアウトした。落ち着いた様子のノーマンが振り抜いた左フックが佐々木を失神させ、東京・大田区総合体育館で予定されていた12回戦のメインイベントは、ESPN+による配信の中で圧巻の形で終わった。
レフェリーのグスタボ・トマスは、佐々木が完全に意識を失っていることに気づかずカウントを始めたが、その後、第5ラウンド46秒で試合をストップした。
佐々木はキャンバスに仰向けのまま数分間動けずにいた。その後、担架でリングから運び出されたが、意識ははっきりしており、リング周辺を離れる際には観客に向かってグローブを振って応えた。
The Ringのウェルター級1位の
ノーマンは戦績を28勝無敗(22KO)に伸ばし、22度目のノックアウト勝利を挙げた
。佐々木は19勝2敗1分(17KO)となった。
「素晴らしい試合だった」とノーマンは試合後インタビューで語った。「自分の前には本当に強い相手がいた。彼のハートの強さは皆さんも見ての通りだ。あいつは全然侮れない奴で、心からリスペクトしている。日本の皆さんが大好きで、また喜んで戻ってくるつもりだ。」
24歳のノーマンは、13カ月前に獲得したWBO世界ウェルター級(147ポンド)王座の2度目の防衛に成功した。ジョージア州コニャーズ出身のノーマンは、前戦で3月29日にフォンテーヌブロー・ラスベガスにてプエルトリコの
デリック・クエバス(27勝2敗1分、19KO)を3回TKOで下している。23歳の佐々木は、プロキャリア約7年で2度目のKO負けを喫した。日本のスーパーライト級コンテンダー、アンディ・ヒラオカ(24勝無敗、19KO)に対し、2021年10月に東京・後楽園ホールで行われた試合で11回TKO負けを喫している。
八王子出身の佐々木は、WBOウェルター級コンテンダーで2位、ザ・リングのトップ10では6位にランクされて初のタイトル戦に臨んだ。
一方、ノーマンは、Ring、IBF、WBA王者
ジャロン・“ブーツ”・エニスがジュニアミドル級への階級上げを発表してから24時間も経たないうちに、ウェルター級の中で抜きん出た存在となった。試合を通じて佐々木よりも速く、強く、精度の高いパンチを見せた。
第5ラウンド開始20秒、佐々木は足を滑らせてキャンバスに倒れた。さらにその20秒も経たないうちに、ノーマンの強烈な左フックが直撃し、試合は決定的な幕切れを迎えた。
第4ラウンド、佐々木はノーマンをコーナーに追い込んでスタートを切ったが、ノーマンはすぐにリング中央へと展開を戻し、クリーンに決まる強烈な右を何発も当てながら、佐々木を着実に崩していった。
第4ラウンド、ノーマンは佐々木のパンチをいくつかかわしてみせた。しかし、ラウンド残り30秒を切った場面でロープ際に詰まった際、佐々木の左フックがノーマンを捉えた。
第3ラウンド開始約35秒、佐々木の左フックがヒットしたが、ノーマンは動じることなく、強打の連打を見舞い、佐々木を後退させた。その結果、佐々木は第1、第2ラウンドほどの手数を出せなくなった。
ノーマンの激しい攻撃に耐えようと、佐々木は深く息を吐きながら踏ん張ったが、この時点ですでに明らかに消耗していた。第3ラウンド終了間際、ノーマンの左フックが佐々木をロープへ吹き飛ばし、ノーマンにとって圧巻の3分間を締めくくった。
初回に2度のダウンを奪ったノーマンは、第2ラウンド開始約40秒、右の一撃で佐々木のバランスを崩させた。その後も両者は、観客を沸かせるような激しい打ち合いを展開しながら、ラウンドの大半でハードショットを応酬した。
それまでの展開で、ノーマンは佐々木のパワーをしっかりと受け止めていたが、ノーマンの優勢にもかかわらず、佐々木は気持ちを切らさなかった。
初回開始わずか35秒足らず、ノーマンの素早い左フックが佐々木の頭部を捉え、佐々木はキャンバスに倒れた。佐々木はすぐに立ち上がり、王者に向かって荒々しいパンチを振るった。
落ち着いた様子のノーマンは、初回残り1分50秒を切ったところで右の一撃を打ち込み、再び佐々木をキャンバスに沈めた。動揺しながらも立ち上がった佐々木は、その後もノーマンにパンチを当て、第1ラウンドをなんとか凌いだ。
ノーマンは、鋭く強力で技術に優れた相手に挑みながらも、佐々木が2度のダウンから立ち上がり反撃したことを称賛した。
「見ての通りだろう」とノーマンは語った。「彼は自分の力を証明した。だからこそこのレベルにたどり着けたし、多くのファンが応援に駆けつけてくれたんだ。彼は心の底から戦い、粘り強く闘い、将来の世界王者である理由を示した。ほかにも獲るべきタイトルはあるし、俺は彼がそれらを手に入れると信じている。」
Keith Idec は「ザ・リング・マガジン」の上級記者兼コラムニスト。X(旧Twitter)の
idecboxingで連絡可能。