アトランティックシティ(ニュージャージー州)-ジャロン・エニスは、長らく待ち望んだこの舞台でついに輝きを放った。
プロキャリア9年の中で最も手強い相手を迎えたこの夜、ボクシング界屈指の逸材は、無敗のウェルター級王者同士の対決で圧倒的な実力を見せつけ、自身最大の勝利をボードウォーク・ホールで飾った。エニスは落ち着いた構えと多彩な攻撃で、果敢に向かってきたイマンタス・スタニオニスの頭部とボディを的確に打ち分け、第6ラウンド終了後、スタニオニスのトレーナーであるマーヴィン・ソモディオがレフェリーのデビッド・フィールズに試合を止めるよう申し出た。
フィラデルフィア出身のエニス(34勝0敗、30KO、1無効試合)は、第6ラウンド終盤にスタニオニスをダウンさせた。リトアニア出身のスタニオニス(15勝1敗、9KO、1無効試合)は、鼻から激しく出血し、多くのダメージを受けていた。
スタニオニスは、これまでスパーリングはもちろん、アマチュア戦・プロ戦を通じても一度もダウンを喫したことがなかったが、エニスは第6ラウンドに強烈な左アッパーカットで彼をキャンバスに沈めた。
27歳のエニスは、自身のIBF王座を防衛し、スタニオニスからWBA王座を奪取。さらに空位となっていた『The Ring』誌認定のウェルター級王座も獲得した。なお、この王座はテレンス・クロフォード(41勝0敗、31KO)が昨年ジュニアミドル級へ転向した際に返上していたもの。
試合後、NBAフィラデルフィア・セブンティシクサーズのスターガード、タイリース・マクシーがリング上で『ザ・リング』のベルトをエニスに手渡し、キャリア最高の勝利を祝福した。
またエニスは、前2試合で指摘されたディフェンス面の課題にも見事に応えた。昨年の地元フィラデルフィアでのカレン・チュカジアン戦では12回判定勝ち、さらにデビッド・アバネシャン戦では5回TKO勝ちを収めていたが、どちらも防御面に不安があると批判されていた。
30歳のスタニオニスにとっては、これがプロ初黒星。彼が最後に敗れたのは、2016年リオデジャネイロ五輪でバフラム・ギヤソフに敗れたとき以来だった。エニスは今後、WBC王者マリオ・バリオス(29勝2敗、18KO)やWBO王者ブライアン・ノーマン・ジュニア(27勝0敗、21KO、1無効試合)との王座統一戦を望んでいるが、ウズベキスタンのギヤソフ(17勝0敗、10KO)が、今回エニスが奪ったWBA王座の指名挑戦者として控えている。
第6ラウンド中盤、エニスはインサイドでヒットを重ね、スタニオニスの大きく外れた右の空振りを誘った。スタニオニスはそれまでエニスのパワーを耐えていたが、残り33秒、2発の左アッパーをボディに、さらに1発の左アッパーをアゴに受け、膝をついた。
根性を見せたスタニオニスはフィールズのカウントに立ち上がったものの、セコンドのソモディオは敗色濃厚な状況を察し、続行は不可能と判断した。
第5ラウンド残り1分50秒を切ったところで、スタニオニスはストレートの右をエニスに打ち込みヒットさせたが、エニスはそれを動じることなく受け止めた。その後、エニスはスタニオニスに強烈な連打を浴びせ、一時的にスタニオニスを後退させた。
第5ラウンド、スタニオニスは鼻から激しく出血し始めた。
第4ラウンド終盤、エニスは観客を煽るような動きを見せたが、スタニオニスはその隙を突くことができなかった。ラウンド開始から30秒も経たないうちに、エニスはスタニオニスのボディに左を2発打ち込んだ。
第3ラウンド残り1分15秒のところで、エニスの左-右のコンビネーションがスタニオニスをとらえた。
同じラウンド残り1分37秒、エニスが倒れる場面があったが、それはスタニオニスが明らかに引き倒したものだった。ラウンド開始から30秒以内には、スタニオニスの鋭いジャブがエニスの頭を大きく後ろに弾いた。
第2ラウンド後半、エニスの左アッパーカットがスタニオニスのバランスを崩させた。直後にはエニスがボディにも左を決めたが、頑丈なスタニオニスは前進を止めなかった。
第2ラウンド序盤、スタニオニスの高いガードはエニスのパンチの多くを防ぐことに成功していた。ラウンド開始から約40秒、両者は互いのボディに打ち合いを展開した。
第1ラウンド終盤、エニスはスタニオニスの高いガードの隙間を割ってストレートの左をヒットさせた。残り約1分15秒のところで、エニスはサウスポースタンスに切り替え、前に出てくるスタニオニスに対応した。
Keith Idecは『ザ・リング・マガジン』の上級ライター兼コラムニストである。X(旧Twitter)では @idecboxing で連絡できる。