ベン・ウィテカーは、いま自分がライトヘビー級の上位戦線に攻勢をかけるのに理想的な位置にいると感じている。
ウィテカー(9勝0敗1分、6KO)は、プロ転向からの3年間で称賛と批判の両方を浴びてきたが、この半年間で、2020年東京五輪銀メダリストである彼自身が、生まれ持った才能だけでは足りず、それを支える確かな土台が必要だと実感するようになった。
リーの穏やかで理にかなった指導方針はウィテカーの心に響いたようだ。
昨年4月、元WBOミドル級王者のリーは、ウィテカーから効率的で冷静なパフォーマンスを引き出し、
再戦となったリアム・キャメロンを2ラウンドで圧倒した。両者の意外な因縁に決着をつけた。
そのパフォーマンスによって、ウィテカーに懐疑的だった人々の一部も再び信頼を寄せるようになった。そして、Boxxerとの契約満了を機に、この勢いを最大限に活かすため
、ウィテカーはマッチルーム・ボクシングとの長期契約を結ぶ決断を下した。
ウィテカーは、多くの才能あるアマチュア選手のように順風満帆な道を歩んできたわけではない。しかし、これまで経験してきた数々の試練や困難こそが、これから待ち受ける戦いへの最高の準備になったと信じている。
「まだ10戦しかしてないけど、その中で本当に多くのことを学んだ。良かったのは、その10試合の中で浮き沈みをたくさん経験できたことだ。その中で得た少しの経験が、これからのキャリアを大きく前に進めてくれると思っている」とウィテカーはマッチルームの番組『フラッシュ・ノックダウン』で語った。
「アマチュア時代にはすべてを経験した。世界選手権のメダル、欧州選手権のメダル、そしてオリンピックのメダルも取った。でもプロの世界はまったく別物だ。今の俺はそれにしっかり対応できる準備ができていると思う。」
「一番大事なのは試合数を重ねることだ。リングに立ち続けてこそ学べるし、そこでこそ最高のパフォーマンスを出せる。だから俺にとっては、とにかく試合を重ねる一年にしたい。そして最高の一年にしたいと思っている。」
ウィテカーの華やかなファイトスタイルと派手なハイライト映像の数々によって、一般ファンの多くは彼が実際よりもキャリアの段階を進めていると勘違いしがちだ。そのため、より厳しい相手との対戦を求める声もすぐに高まるだろう。
マッチルームは、ウィテカーをいきなり危険を伴う背水の陣のような試合に放り込むつもりで契約したわけではない。彼を計画的に育成し、適切な相手と対戦させながら段階的に仕上げ、いずれ世界タイトルのチャンスが訪れたときには、その舞台に立つだけでなく、長くそのレベルにとどまれるようにする方針だ。
ウィテカー自身はすでにそのレベルに達していると感じているが、マッチルームが描く計画を全面的に受け入れ、新たなチームを信頼して自らを最適なポジションへ導かせようとしている。
「正直に言えば、俺に聞いてもいいし、アンディにジムでの様子を聞いてもいいけど、もう準備はできている」とウィテカーは語った。「プロボクシングはビジネスだ。だから俺はジムでやるべきことをやるだけ。エディとマネージャーのフレディ・カニンガム、そしてフランク・スミスがその先を整えてくれる。俺はただここにいる、それだけさ。」