【BP PULSE LIVE・バーミンガム】――15人編成の女性合唱団が、ベン・ウィッテカーの入場を荘厳に彩った。これは、彼にとって“贖罪の一戦”だった。
この6ヶ月、ウィッテカーは嘲笑され、批判され、存在そのものを疑問視されていた。誰も予想していなかったリアム・キャメロンとの再戦、その結末は、リヤドで起こるべきだったと誰もが思っていた光景――短く、だが冷酷な一夜だった。
全7試合で構成されたこのイベントは、イギリスではSky Sports、アメリカではTrillerTV+で生中継され、最初の3試合はSky Sports BoxingおよびYouTubeで配信された。
「俺はもう終わったと思われてた」――その言葉が15,655人収容の屋内アリーナに響き渡った。何百人もの観客が立ち上がり、その中には地元のヘビー級ファイター、フレイザー・クラークやソロモン・デイカーズの姿もあった。BOXXERの“隠れた看板スター”であるウィッテカーは、まるで手術のように正確な試合運びで過去を清算しにかかった。レフェリーのハワード・フォスターが試合を止めたのは第2ラウンド1分53秒だった。
アンディ・リーをヘッドトレーナーに迎えた新体制のチームと共に、「Jesus Is King」の文字が入ったジャケットを身にまとい、ウィッテカーは完全に舞台を整えていた。対するリアム・キャメロン(23勝7敗1分、10KO)は高いガードを固め、リングサイドでは“自称セコンド”たちの指示が飛び交っていた。
ウィッテカー(9勝0敗1分、6KO)は、予想通り緊迫した立ち上がりの中でキャメロンを冷静に追い詰めていった。キャメロンが悪意ある大振りを放つも空を切り、ロープまで押し込まれた場面では、ウィッテカーが一瞬だけショーボート気味の仕草を見せる余裕もあった。
キャメロンもいくつかのパンチをヒットさせ、観客の視線を引きつけた。それはウィッテカーにとっても注意を促すべきシグナルだったはずだ。第2ラウンドでは、ウィッテカーがジャブを顔面、続いてボディへと打ち分け、ガードの上からでも効果を残すパンチをねじ込んでいった。
パワーには明確な意図があり、ウィッテカーの動きは終始緻密で計算されていた。試合が早すぎるストップだったかどうかは議論の余地が残るが――キャメロンのマネージャー、リー・イートンはリングに上がって抗議を示した――34歳のキャメロンは、強烈な右を浴びて明らかに動きが鈍った。
すぐには分かりづらかったが、「キャノンボール」ことキャメロンの足元は揺らぎ、ボディランゲージも後ろ向きになっていた。ロープ際で無防備にパンチを浴び続け、レフェリーはここで試合を止める判断を下した。
「こうなることは分かってた。人生で最高のキャンプだったし、前の試合の後、多くの人が俺を見捨てた。でもアンディが“アイルランドに来い、全部見せてやる”って言ってくれたんだ」と、ウィッテカーは試合後、Sky Sportsのアンディ・スコットに語った。
その後ウィッテカーは、試合後にキャメロンと抱擁を交わしたことを明かし、キャメロンは「あんなパンチは今まで一度も受けたことがない」と語った。そして、物議を醸した前回の引き分けについても「あれは必要だった」と再び示唆した。
「サウジで起きたことは、起きるべきだった。それがあったからもっと努力できた。俺は今でもスワッギーで派手だよ、リングウォークを見れば分かるだろ?でもリングの中ではすごく規律を守ってる……集中すれば、みんな“本物のベン・ウィッテカー”が見えるはずさ。」
プロモーターであるBOXXERのベン・シャローム代表も、27歳のウィッテカーに対する誇りを語った。この日の短い仕事ぶりで、再び評価が上がることは間違いない。
「彼の未来は本当に明るい。英国ボクシング界で最大のスターだよ。」
次戦については未定だが、ウィッテカーはまず“ご褒美”を楽しみたい様子。減量と食事制限を経て、しばし好きな“ジャンクフード”に手を伸ばすつもりだ。
「ずっとプロらしい生活をしてきたけど、そろそろ腹に何か詰めないとな。もうブロッコリーなんてまっぴらだ!」
試合結果
メインカード
ライトヘビー級:ベン・ウィッテカー TKO2(1分53秒)リアム・キャメロン
スーパーウェルター級:サム・エギントン 技術判定勝ち(TDU8・87–85、90–83、87–85)リー・カットラー
ヘビー級:フレイザー・クラーク KO1(1分52秒)エベネザー・テテ
ミドル級:タイラー・デニー 判定勝ち(PTS10・97–92)エルヴィス・アホルガ
プレリム
ウェルター級:エリオット・ウェール 判定勝ち(PTS8・79–74)ルーカス・バリンゴール
ミドル級:トロイ・コールマン TKO7(1分21秒)ブラッドリー・ゴールドスミス
スーパーミドル級:マーク・ジェファーズ KO2(0分40秒)リカルド・ララ