ウラジミール・シシキンは、5月3日にサウジアラビア・リヤドで行われたスーパーミドル級タイトル戦で、
ウィリアム・スカルがカネロ・アルバレスとの打ち合いを拒んだことに少しも驚かなかった。
スカルは10月19日にベルリンで行われたIBFスーパーミドル級タイトルマッチでも同様で、シシキンに対しても積極性を見せなかった。この試合で消極的な姿勢を見せたキューバ出身のスカルは、物議を醸す形で判定勝ちを収めた。スカルは現在ベルリンに居住し、同地でトレーニングを積んでいる。
ただ、IBF王者として挑んだスカルとアルバレスの試合内容には、シシキンも驚いたという。スカルはアルバレスの持つリング誌王座、WBA、WBC、WBOのベルトを本気で奪いにいく姿勢を見せなかったのだ。
「正直、とても接戦だったと思う。スカルは勝てたかもしれない。ただ動き回っていただけだ。もっと手を出していれば勝てただろう。結局、逃げていただけだった」と、シシキンは
木曜夜にカジノ・ド・モントリオールで行われるキューバ人コンテンダー、
オスレイス・イグレシアスとの一戦を前に『
ザ・リング』に語った。
メキシコのアルバレスもリングをカットする動きがあまりなく、そのためスカルは後退しながらディフェンス主体で12ラウンドを生き延びる時間とスペースを得られた。
このDAZNペイ・パー・ビューのメインイベントは、アクション不足が深刻で、12ラウンド戦における両者合計のパンチ試打数が445発というコンピューボックス史上最低記録を樹立した。アルバレス自身も152発しか打たず、これは同社40年の歴史で12ラウンド戦における一選手の投打数として2番目に少ない数字だった。
「見るべきものは何もなかった。スカルは人を痛めつけたいタイプのファイターじゃない。ただアマチュア的なスキルしかない。こうなることは分かっていたが、カネロならもっと賢く倒す方法を見つけると思っていた。でも彼はできなかった」とシシキンは語った。
アルバレス(63勝2敗2分39KO)は、119-109、116-112、115-113の判定で勝利したものの、スカル(23勝1敗9KO)に対するこの勝利は、次戦テレンス・クロフォード(41勝無敗31KO)との頂上決戦に向けて答えよりも多くの疑問を残す結果となった。
ただし、この勝利によってアルバレスはスーパーミドル級で2度目の4団体統一王者となった。グアダラハラ出身のアルバレスは、
9月13日にラスベガスのアレジアント・スタジアムでクロフォードと対戦し、その模様はNetflixで世界配信される。
ロシアのシシキン(16勝1敗10KO)はIBFランキング2位。彼は、同じくIBFで3位にランクされる強打のサウスポー、イグレシアス(13勝無敗12KO)と対戦し、ニュージャージーを拠点とするIBFの承認団体による
アルバレス対クロフォード勝者への義務挑戦権を懸ける。なお、IBFスーパーミドル級ランキング1位は空位となっている。
シシキン陣営は、スカルに論議を呼ぶ敗北を喫した後、ドイツプロボクシング協会に抗議を申し立てた。試合結果は覆らなかったが、IBFはシシキンをランキング2位にとどめ、最終的にイグレシアスとの挑戦者決定戦を指令した。
34歳のシシキンは、スカルに敗れて以来10カ月半リングから遠ざかっている。
「自分にとっていい教訓だった。結果は結果だ。自分にとってはただの出来事にすぎない。自分の道を進み続けるだけだ」とシシキンは語った。
Keith Idecは『ザ・リング』のシニアライターおよびコラムニストである。X(旧Twitter)@idecboxingで連絡可能。