井上尚弥と
中谷潤人は、それぞれ
アラン・ピカソ、
セバスチャン・エルナンデスに勝利し、5月に予定されている待望の日本人対決実現に向けた最後の関門を突破した。
しかし、サウジアラビア・リヤドのモハメド・アブド・アリーナで行われたこの日の両者の12回戦・判定勝利の内容は、明確に異なるものであった。
トップランクのボクシング・オペレーション担当副社長であり、井上と中谷を共同プロモートするカール・モレッティは、
中谷が接戦の末にエルナンデスをわずかに上回ったとの見解を示した。
「非常に競り合った試合だった」とモレッティは『ザ・リング・マガジン』に語っている。「自宅で採点していた時は7-5で中谷だった。会場での採点はいつも違ってくる。私は[中谷が]12ラウンドを取ったとは思わなかった。だから採点表を見るとバラつきがあるが、こういうことは今までにも何度も見てきた。むしろセバスチャンをもっと評価すべきかもしれない。試合前からこのカードで一番の好カードだと見られていたが、実際にその通りだったと思う」
ジャッジのマイク・ヘイエルとゲイリー・キタノスキーはともに12ラウンドを中谷(32勝0敗、24KO)に付け、同選手のスーパーバンタム級デビュー戦を115-113で採点した。一方、ナワフ・アルモハイミードは、
『The Ring』誌PFPランキング6位の中谷に対し、118-110という大差の判定を与えている。
「12-0だった」とモレッティは語る。「相手が脅威になるとは一度も感じなかった。序盤は多少競り合ったが、本当の意味での接戦ではなかった。このレベルの選手になると、自分が相手を上回っていると分かれば、あとは流して戦うものだ」
『The Ring』誌PFPランキング2位の井上(32勝0敗、27KO)は、『The Ring』誌認定王座、IBF、WBA、WBC、WBOのスーパーバンタム級タイトルを防衛した。
モレッティは、来年両者が母国の舞台に戻ることで緊張感が高まり、より研ぎ澄まされた、より冷静で正確なパフォーマンスになると見ている。
「リヤドという環境は、アクセルを踏み込ませるような雰囲気ではないと思う」と、モレッティは語り、試合地について言及した。「ラスベガス、ニューヨーク、日本では、雰囲気によって選手の気持ちの入り方が全く違う。[井上も]カネロが[ウィリアム・スカル戦で]そうだったように、それを感じ取って、淡々と試合を進めたのかもしれない」
「[ラモン]カルデナスとアメリカで戦った時、カルデナスは左右どちらの手でもパンチを打てたし、舞台はベガスだった。井上はその状況に燃え、実際にカルデナスは井上からダウンを奪った」とモレッティは振り返る。「その結果、年間最高試合候補になり得るような、ハイペースの激戦になった。
人々はカルデナスの名前を知らなかったから過小評価していたが、井上戦に臨む前から、彼が強烈な左フックを持っていることは分かっていた。一方で、ピカソに井上を本当に苦しめるほどの決定的な武器があったかと言えば、そうは言えない。その通りの展開になった」
メキシコのエルナンデス(20勝1敗、18KO)が一時的に井上―中谷戦に疑問符を投げかけたものの、この一戦は依然として予定通り、
5月に東京で行われる見込みである。
「現時点ではそれが計画だ」とモレッティは確認した。「次に控えているのはそれだ。中谷が今回どのように見えたかに関わらず、非常に競争力のある試合になると思っている。満員の東京ドームの前に立てば、中谷は、可能であればさらにレベルを引き上げなければならないし、実際にそうする必要がある。そして井上も、その舞台で間違いなく気持ちを高めてくるはずだ。
今回の試合内容から、多くの人は井上有利と見るだろう。しかし、井上が長身でリーチがあり、なおかつパンチ力のあるサウスポーと最後に戦ったのはいつだろうか。井上は信じられないほどリスクを取る選手だ。中谷の試合内容を理由に、この一戦を見たくないと思う人はいないだろう。依然として、極めて興味深いカードである」
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