ソル・デイカースは7月にキャリア最大の勝利を挙げたが、その代償は大きかった。
昨年のデビッド・アデレイに80秒でノックアウト負けして以来の復帰戦で、デイカースは22勝0敗の戦績を持って
ウェンブリーに乗り込んできたウラディスラフ・シレンコを、内容でも大きく上回って判定勝ちする成熟したパフォーマンスを見せた。
そして、ウェンブリー・スタジアムで行われた
オレクサンドル・ウシク vs ダニエル・デュボアのアンダーカードで、デイカース(10勝1敗、3KO)はウクライナ人に初黒星をつけ、自身のキャリアを再び軌道に戻した。
しかし勝利に向けラウンドを重ねていた最中、何が起きていたかを知る者はほとんどいなかった。デイカースは2回、左フックを放った際に上腕二頭筋を断裂していたのだ。その影響で長く厳しいリハビリ生活に入り、リング復帰は早くても来年2月になる見込みだ。
「左フックを打った瞬間、“プチッ”といった感覚があった」とデイカースは
ザ・リングに語る。「すぐにヤバいと思ったけど、もう一度打てるか試してみた。
試したら、“あ、もうダメだ”と分かった。それでもなんとかごまかしながらジャブを混ぜて、手を上げ続けようとしたけど、簡単じゃなかった。
数週間後にMRIを撮ったら重度だと言われた。筋肉が腱から完全に裂けていたらしい。あのままさらに8ラウンド戦ったのは良くなかったかもしれないけど、今はピンで固定されているし、これからしっかり持ってくれればいい。」
手術からおよそ5ヶ月が経ち、リハビリの“ハードワーク”の大半は終わり、デイカースは年内にはスパーリングに復帰する見込みだ。
「フラストレーションはある。あの勝利からいい勢いに乗れたはずだから」と彼は言う。
「ランキングに戻って、相手はWBOのトップ15ファイターだったんだから、本来ならそのランクを取るべきだった。アデレイ戦の後、あれはまさに必要だった勝利だ。みんな俺を見限っていたけど、実際は完全に上回ってみせた。
すごくいい形で巻き返しができたし、いろんな声を黙らせることができた。このケガは予定外のつまずきだったけど、ほぼ乗り越えたところだ。」
デイカースの負傷後、彼が狙っている英国タイトルは移動した。11月29日、
ダービーでジェイミー“TKV”チシケバがフレイザー・クラークを判定で下し、2度目の挑戦で王座を獲得した。
デイカースは2026年に新王者への挑戦が実現することを望んでおり、英国ボクシング統括委員会に指名を求めている。
「その件はマネージャーに任せているけど、俺たちの見立てでは、次のチャンスを得る最有力の位置にいるはずだ」と彼は言う。
「俺はいい勝ち方で戻ってきたし、元イングランド王者でもある。英国タイトルへの次の挑戦者として十分に信頼できる位置にいる。今の俺に重要なのは、あのベルトを手にすることだ。だから
TKVとの試合が組まれることを願っている。」
「2月には戦える準備が整う。フィジオもそのタイミングを推奨している。急いで1月に戻ることもできるが、数週間の違いなら万全に戻した方がいい。」
元レスラーのTKVはクラーク戦でアンダードッグだったが、激しい打ち合いの末にスプリットデシジョンで番狂わせを起こし、ダービーでベルトを獲得した。しかしデイカースは、自分のスタイルならTKVを封じ込められると考えている。
「俺なら彼をアウトボックスできると思う」とデイカースは言う。「TKVは組みの中での仕事が上手くて、クラークとのクリンチから抜ける瞬間の反応も鋭かった。でも俺もインファイトではかなり強い。そこでもボックスできる。」
「俺はあらゆる局面で賢いファイターだし、彼に勝つためのパッケージを完全に持っている。こういう試合こそ、ボクシングを続ける理由だ。誰も知らない相手に勝つためにやっているわけじゃない。みんなが知っていて、意見を持っていて、見たいと思う相手を倒すためにやっている。」
「今のこの国には、ビッグファイトを求められるヘビー級が何人もいる。ジェイミーとの英国タイトル戦が、その次のビッグファイトになればいい。」