5階級制覇および3度の4団体統一王者であるクロフォードは、12月16日、自身の人生における次の章へ進むことを表明した。2015年に殿堂入りを果たしたランプレイは、クロフォードが史上最高峰とされる階級の一つにおいて、史上最高のボクサーの一人であるとも語っている。
「彼はキャリア最大の功績の多くを147ポンドで築き上げた」とランプレイは
『ザ・リング・マガジン』に語った。「総合的に見ても、彼は偉大なウェルター級王者として記憶されるだろう。史上最高のウェルター級とは誰か。シュガー・レイ・ロビンソン、レイ・レナード、トーマス・ハーンズ……輝かしい王者が数多く存在する、栄光に満ちた階級だ。その中でも彼は、少なくとも歴代トップ4、あるいはトップ5には入る存在だと思う。それは非常に大きな功績である」
現在76歳のランプレイは、1988年から2018年までHBOの実況解説を務め、スポーツ・エミー賞を4度受賞。さらに、オリンピック14大会を取材してきた実績を持つ。
38歳の
クロフォード(42勝無敗、31KO)は、ウェルター級で8戦全勝8KOという圧倒的な戦績を残し、自身2度目となる4団体統一王者の座に就いた。ウェルター級での最大の戴冠は、この階級での最後の試合となった2023年7月、エロール・スペンス・ジュニアを9回TKOで下し、全てのベルトを獲得した一戦である。この試合は事前には五分五分と見られていたが、結果は一方的な内容となった。
歴史的に見てもボクシング屈指の名階級で4団体統一王者になることは、多くのファイターにとってキャリアの頂点となる。しかしランプレイは、クロフォードにとって最大の偉業はその次の試合にあったと考えている。クロフォードは14ポンド階級を上げ、2024年9月13日、
同時代のもう一人の偉大な王者サウル「カネロ」アルバレスを判定で下し、スーパーミドル級4団体統一王者となった。
「カネロに勝ったことこそ、現時点での彼の究極のキャリア達成だ」とランプレイは語る。「彼が引退する理由の一つとして考えられるのは、カネロ撃破に匹敵する社会的インパクトを持つ試合が、この先にあるのかという点だろう。
ライトヘビー級に上げて誰かと戦うのであれば別だが、正直それは想像できない。これは彼のキャリアにおける驚異的な戴冠である。彼は、ほとんど誰も予想しなかったレベルまで自らを証明してみせた。かつて、クロフォードをブレイディス・プレスコット戦に起用するようトップランクを説得した故キャメロン・ダンキンであれば、ここまでの成功を予見していたかもしれないが、それ以外に思い当たる人物はいない」
「彼と話すたびに、自己統制の高さ、自己定義の明確さ、そして目標の独自性に驚かされる。ユニークという言葉は使い古されがちだが、テレンスは本当に唯一無二のファイターだ」
ボクシング界には、引退を表明した後に現役復帰を選んだ偉大な王者が数多く存在する。レイ・レナード、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオらは、何度も引退を宣言しながら最終的にはリングに戻った選手たちである。
しかし熟考の末、ランプレイはクロフォードが言葉通り引退を貫く数少ない存在の一人になると考えるに至った。
その例としてランプレイが挙げたのが、2021年に国際ボクシング殿堂入りを果たした2階級制覇王者であり、2004年アテネ五輪金メダリストのアンドレ・ウォードである。ウォード(32勝無敗、16KO)は、2017年6月17日、セルゲイ・コバレフを8回TKOで下すというキャリア最高とも言える勝利を挙げてから、わずか3カ月後に引退を発表した。当時の年齢は33歳であった。
41歳となった現在も、
ウォードがアンソニー・ジョシュアとの対戦を視野に現役復帰するのではないかという噂が流れることはあるが、実現には至っていない。ランプレイは、クロフォードとウォードは非常によく似た気質を持つと考えており、クロフォードもまた誘惑に抗い、引退を守り抜く可能性が高いと見ている。
「当初は疑念もあった」とランプレイは語る。「しかし今は、テレンス・クロフォードの言葉に異を唱えるつもりはない。彼は並外れた精神的決意を持った人物であり、自己を明確に定義している。厳しい生い立ちの中から這い上がり、あらゆる困難を乗り越えてきた。そして、知的な分析者であれば誰もが納得する形で、世界最高のパウンド・フォー・パウンドのファイターであることを証明してきた。
もしそれが彼の望みであるなら、今はリングを去るには完璧なタイミングである」