井岡一翔は、今回も大晦日に歓喜を届けた。4階級制覇王者は、層が厚く複雑なバンタム級という新たな舞台で、歴史的快挙を目指して歩みを進めている。
井岡一翔は、東京・大田区総合体育館で行われたLemino配信興行のメインで、WBA世界王座挑戦者決定戦に臨み、
マイケル・オルドスゴイッティ(15勝2敗、14KO)を4回にダウンさせ、そのまま試合を終わらせた。
ミニマム級、そしてその後ジュニアバンタム級で王座統一を成し遂げた井岡は、すでに殿堂入りが確実視される存在である。しかし、その偉業に満足しているわけではない。さらなるレガシーを築く機会が、今まさに彼を待っているからだ。
「もし5階級制覇を成し遂げることができれば、挑戦することの大切さ、そして自らに挑んだからこそ偉大なことが成し遂げられるのだということを示せると思う」と、井岡は復帰戦を前に
『ザ・リング・マガジン』に語っている。最初の関門は、無事に突破した。
井岡一翔(32勝4敗1分、17KO)は『ザ・リング・マガジン』に対し、WBA王者の
堤聖也、もしくは新WBC王者の
井上拓真のいずれかに挑戦したい意向を明かした。
パウンド・フォー・パウンド級の2人のスターがそろうエキサイティングな年に、日本人同士の対決としてファンの想像力をかき立てる一戦になると語っている。
ベネズエラ出身のマイケル・オルドスゴイッティは、4月にフェザー級で参戦したWBCグランプリで無敗記録を失っていたが、この試合で際立ったのは井岡一翔の増量による上積みだった。巧みなパンチ選択、特にアッパーとボディへのフックを効果的に使い分け、壊滅的なダメージを与えた。
24歳のマイケル・オルドスゴイッティは、2回中盤に連続して被弾すると、たまらず腰を落として立て直しを図った。一方の井岡一翔は、動じる様子もなく静かにコーナー方向へ歩き、まだ与えるべきダメージが残っていることを理解していた。
田中康次レフェリーのカウントをクリアすると、井岡一翔は弾むように前へ出て距離を詰め、ボディを打ち込みながら右をヒットさせた。若い相手は生存本能が働き、猶予を求めるかのようにロープを背に後退した。
オルドスゴイッティは3回に入ると、前のダウン後に過度に守勢に回って井岡にフィニッシュの口実を与えるわけにはいかないと理解し、足を止めて応戦した。試合の流れを変える一発を求め、荒々しくフックを振り回した。
それでも、来日した挑戦者が気迫のこもった反撃を見せた中で、予定10回戦としてはキャリア2度目となるこの一戦に臨んでいた井岡一翔は、そのラウンドをより良い形で締めくくった。相手から返ってくる強打にもまったく動じることなく、キャリア16年のベテランは至近距離での打ち合いに応じる構えだった。すでに下への攻撃が挑戦者の消耗を進めていることも分かっていた。だからこそ、その一撃で決着がついたのは象徴的だった。
マイケル・オルドスゴイッティはアッパーからフックのコンビネーションを放ったが、ボディが空いた。その隙を逃さず、井岡一翔は左右いずれの手でもボディへフックを叩き込み、プロ6年目の相手の腹部を深くえぐった。
激痛に顔を歪めながらキャンバスに崩れ落ち、そのまま続行不能となった。5月には当時のスーパーフライ級王者
フェルナンド・“プーマ”・マルティネスに
12回判定で再び敗れていただけに、地元の人気者である井岡一翔にとって、この結末は波乱に満ちた一年を締めくくる甘美なフィナーレとなった。
Ring 115ポンド級2位の彼は、印象的なパフォーマンスを見せたいと望んでおり、その狙いどおり強烈なインパクトを残した。多くの者が、2026年に何が待ち受けているのかを占う内容だった。
今月初め、43歳で歴史的快挙を狙ったノニト・ドネアは堤聖也に僅差で敗れ、即時再戦を求めている。一方で、統括団体の休養王者である
アントニオ・バルガスにも、遅くとも4月15日までに自身の挑戦機会が巡ってくる見込みだ。
同じ配信プラットフォームに揃ったことで、WBA王座戦線の混雑を受け、代替案として井岡一翔がWBC王者の井上拓真と任意防衛戦で対戦する可能性も浮上している。その場合、井岡にとっては日本男子史上初となる5階級制覇世界王者への道が開かれる。
井岡一翔は世界4階級制覇を最初に成し遂げた日本人選手であり、その偉業は、拓真の兄であり
Ringパウンド・フォー・パウンドランキング2位の井上尚弥が2023年に達成している。
キラ、バルデラスを一蹴

東京の有望株、
ダイヤ・キラ(4勝0敗、3KO)は、WBAジュニアフライ級指名挑戦者決定戦でイバン・ガルシア・バルデラス(13勝5敗1分、5KO)を相手に、開始早々から容赦なく攻め立てた。第2ラウンド開始からわずか27秒、鋭いカウンターのオーバーハンド右をクリーンヒットさせ、メキシコ人選手をキャンバスに沈め、試合を終わらせた。
WBOジュニアフライ級2位にランクされるキラは、井岡一翔と同じプロモーションに所属し、共に練習を重ねている。2024年6月にプロ転向を果たしたばかりである。
この一戦は、キラにとって初の10回戦として組まれた試合であった。
『ザ・リング・マガジン』に対し、バルデラスは自らが求めてきた新たな挑戦であると語っていた通り、来年以降は12回戦での試合が続くことになるだろう。
22歳の快進撃はとどまるところを知らない。統一王者レネ・サンティアゴ(15勝4敗、9KO)への挑戦が視野に入る立場にある一方で、当面はさらにレベルの高い相手とのステップアップ戦が続く可能性が高い。
WBO/WBA王者のサンティアゴは、SNS上での呼びかけに前向きな反応を示したことを受け、『The Ring』誌同級5位の
岩田翔吉との再戦を次の目標に据える可能性もある。