ジャロン・エニスは、
ウィスマ・リマ戦に向けてキャンプを終盤に差し掛かる今、半年前とはまったく違う感覚を抱いている。
元統一王者のエニスにとって、147ポンドのウェルター級リミットまで落とすのは当時思っていた以上に厳しいものになっていた。
エイマンタス・スタニオニスを圧倒したパフォーマンスからは想像できなかったが、“ブーツ”の愛称で知られる天才ファイターは、次戦でスーパーウェルター級へ上げる必要があることを自覚していた。
エニスはキャリア最初の9年間をウェルター級で過ごした。無敗のままその階級を完全制覇する夢はまだ魅力的だったが、それを待つことはできなかった。
28歳のエニスは6月、ザ・リング、IBF、WBAのウェルター級タイトルを返上し、154ポンドに挑むと発表。スーパーウェルター級デビューを目前に控え、最終的に自分の身体の声に従ったことを感謝している。
「キャンプは間違いなくこれまで以上に順調だよ」とエニスは『ザ・リング・マガジン』に語った。「7ポンドの余裕があるから、最高の気分だ。」
コンディションが整ったエニスは、
10月11日にアンゴラのウィスマ・リマを相手に再び圧倒的なパフォーマンスを見せることを期待している。この一戦はフィラデルフィアのエックスフィニティ・モバイル・アリーナ(NBAシクサーズ、NHLフライヤーズの本拠地)で行われる12回戦の
WBA挑戦者決定戦で、DAZNがメインイベントとして配信する。「154に上げて戦うのは間違いなくいい選択だ」とエニスは語る。「もっと良くなると思うし、もっと強く、もっと速く、もっと鋭くなるはずだ。ボクシングIQも上がるし、すべてが噛み合うだろう。」
サウスポーとオーソドックス、
両構えを自在に操るエニス(34勝無敗、30KO、1NC)は、キャリア最大の試合となったスタニオニス戦でも圧巻の内容を見せた。
4月12日、ニュージャージー州アトランティックシティで行われた無敗王者同士の一戦で、2016年五輪代表のスタニオニスを6回に連続の左アッパーで倒す。リトアニアのスタニオニス(16勝1敗、9KO、1NC)がアマチュア・プロ通じて初めて倒れた瞬間だった。3者とも60-53と大差をつけられていたスタニオニスは、7回開始のゴングに応じず試合を終えた。
ブックメーカーの評価では、スタニオニスの方がリマ(14勝1敗、10KO)よりも危険な相手と見られていた。しかし、エニスにとって最後のウェルター級での減量は、試合そのもの以上に過酷なものだった。
「どうやってやり切ったのか自分でも分からないけど、とにかくやった」と彼は語る。「プロとして、体重を作るためにやるべきことをやった。でももう、あと7ポンドも削る必要はないんだ。」
エニスは、ヴァージル・オルティスとの対戦やスーパーウェルター級での将来の試合について語ることを避けた。とはいえ、もし彼がリマに勝ち、そしてオ
ルティス(23勝無敗、21KO)が11月8日にテキサス州フォートワースでエリクソン・ルビン(27勝2敗、19KO)を下せば、DAZNの首脳陣とマッチルーム・ボクシングのプロモーターであるエディ・ハーンが、2026年初頭の両者対戦を強く推し進めると見られている。
ドラフトキングスは、エニスをリマに対して25対1という大差の本命に設定している。リマは2023年6月にアイルランドのアーロン・マッケナ(20勝無敗、10KO)に10回判定で敗れて以降、4連勝を飾っている。
Keith Idec は『ザ・リング』誌のシニアライター兼コラムニストである。Xでは@idecboxingで連絡を取ることができる。