ロンドン(イングランド)発 —
デビッド・アデレイが前回リヤドで試合を行った際、彼は自身初の敗北を喫しただけでなく、宿敵ファビオ・ワードリーにノックアウトで敗れた。
彼は8月16日、
モーゼス・イタウマ対ディリアン・ホワイトをメインとする
DAZNのペイ・パー・ビュー(英国で19.99ポンド、米国で19.99ドル、オーストラリアで39.99ドル)によるEsports World Cupの一環として、フィリップ・フルゴビッチとの対戦に挑み、サウジアラビアの首都リヤドに戻ってくる。この試合は、あの夜以来で最も厳しい試練となる。
多くの選手にとって、リヤドでの再戦はキャリア最悪の夜の悪夢を払拭する機会となるだろう。しかし、アデレイ(14勝1敗、13KO)はそうは考えていない。
「俺には悪夢なんてない」と、火曜日にロンドン郊外のトレーニング拠点から『ザ・リング』に語った。「まったくない。
「世の中にはもっとひどいことが起きてる。俺にとって、あれは悪夢なんかじゃない。ただ自分のやるべきことをやるだけだ。俺のやることは“戦う”ことだ。
「確かに前回は力及ばなかった。でも今回は違う。絶対に負けない。」
あの夜、アデレイは第7ラウンド終盤にストップされ、ロンドンでのレッドカーペット上での乱闘を含む数か月にわたる因縁の抗争に終止符が打たれた。それはまた、アデレイにとって14か月間のブランクの始まりでもあり、彼がリングに戻ったのは翌年12月になってからだった。
復帰後、ロンドンのラドブルック・グローブ出身で28歳のアデレイは、
国内の相手を相手に連続ストップ勝ちを収めている。
ソロモン・デイカーズには初回で、
ジェイミー・TKVには6回で、それぞれ試合を終わらせた。
「今はもう完全に調子が戻ってきたと感じている。100パーセントだ」とアデレイは語る。「そして今、俺は本当に大きな試合に関わっている。」
だが、TKV戦での勝利には物議があった。レフェリーが相手の手を動かしたように見えたうえ、ブレイク中にアデレイが強烈な左フックを叩き込んだ場面もあり、再戦は確実と思われていた。
イギリスボクシング管理委員会も再戦を命じており、アデレイ自身も即時再戦を予想していた。「俺の認識では、8月23日にやる予定だった」と彼は言う。
「俺の側では契約も署名もすべて済んでいた。でも、ボクシングでは何が起きるか分からない。土壇場でいろんなことが起こるんだ。」
アデレイにとって“そのこと”とは、身長6フィート6インチ(約198cm)のクロアチア人
フィリップ・フルゴビッチの存在だった。アデレイ同様、“エル・アニマル”ことフルゴビッチもキャリアで1敗のみ。
ここ数年でやや存在感を失ったが、ヘビー級の頂点にふさわしい実力を証明しようと必死だ。かつては将来のヘビー級王者と称されていた彼だが、2022年の
チャン・チーレイ戦では精彩を欠くパフォーマンスにより評価を落とした(判定勝ちはしたものの)。さらに昨年6月には、ダニエル・デュボアに敗れて無敗記録に終止符を打たれた。
「まあ、アイツはいいファイターだよ」と、33歳のフルゴビッチについて聞かれたアデレイは語る。
「アイツが強いのは最初から分かってたし、アマチュア時代からずっと知ってた。でも、上を目指すなら乗り越えなきゃいけない壁がある。これは俺にとってその一つだ。完璧に乗り越えてみせる。
「いいか、アイツも結局は腕が2本、脚が2本あるただの人間だ。神じゃないし、特別でもなんでもない。手と足がある、普通の人間だ。」
とはいえ、フルゴビッチは
『ザ・リング』のヘビー級ランキングで6位。主要4団体でも上位にランクされており、WBOでは2位に位置している。
「目の前にプレッシャーのかかる本物の試合があると、トレーニングにも気合が入るし、もっと真剣に取り組める」とアデレイは続ける。「最高の状態で臨まないといけない。」
過去には、「ある程度の“恐怖”が自分の力を引き出してくれた」と語るボクサーも多くいた。だが、アデレイにとって“ストレス要因”と“恐怖”はまったくの別物だ。
「恐怖なんてまったくない」と彼はきっぱりと言う。「この地球上の誰に対しても、恐怖なんて一切ない。本当にない。はっきり言っておく、恐怖なんてないんだ。アイツはいいファイターだし、何ができるかも分かってる。でも、恐れてはいない。
「分かっているのは、アイツに勝てば一気に上位に食い込めるってことだ。トップ戦線に割って入り、名前が一気に“あのレベル”に並ぶ。そこが俺の居場所だし、今がそれを証明するチャンスなんだ。」