CO-OPライブアリーナ(マンチェスター)――英国ヘビー級王座を巡るファイトウィークは、序盤から激しい盛り上がりを見せた。そして5ラウンドにわたる緊迫した展開の後、第6ラウンド序盤にデイビッド・アデレイの左フックがジェイミー・チケヴァにクリーンヒット。先月ファビオ・ワードリーが返上した英国王座を手中に収めた。
この試合は、ジョー・ジョイス対フィリップ・フルゴビッチをメインとするクイーンズベリー・プロモーションズのDAZNストリーミング配信デビュー戦における2つのタイトルマッチのうちのひとつで、セミファイナルとして注目を集めた。
序盤、両者よりも目立っていたのはレフェリーのロン・カーニーだった。過度なホールディングや、ブレイクの合図中のパンチに対する注意が続き、接近戦では予想通り雑然とした展開となった。国内の多くのヘビー級ボクサーがリングサイドで見守る中、場内の緊張は高まっていた。
フレーザー・クラークをはじめ、チケヴァのジムメイトであるモーゼス・イタウマや、18か月前にアデレイをノックアウトしたワードリーらが、アンダードッグであるチケヴァに声援を送っていた。
第2ラウンド終盤、アデレイはループするような左を数発放ち、観客の興奮を誘った。一方でチケヴァはジャブを起点に的確なボクシングを展開し、手数と精度で優位に立っていた。
第3ラウンドでは両者の攻防が乱雑で、有効打もほとんど見られなかった。レフェリーはクリーンな試合運びを促そうと奮闘したが、散発的な危険な場面があるだけで盛り上がりに欠け、熱気に満ちたファイトウィークとのギャップに観客の苛立ちは次第に高まっていった。
アデレイは中央で左と右を打ち込んだものの、攻撃の手数は十分ではなく、チケヴァを脅かすほどではなかった。第5ラウンド中盤には3連打でロープ際に追い込む場面もあったが、クリーンヒットに乏しく、期待された圧力は見られなかった。
両者ともにクリンチやバッティング、レフェリーの指示を無視する場面が目立ち、試合のコントロールは乱れたままだった。そして第6ラウンド、カーニーが何かを合図する最中に至近距離で放たれたアデレイの左フックがチケヴァにクリーンヒット。チケヴァは崩れ落ちるようにダウンし、かろうじてカウントに立ち上がったが、その後のアデレイの連打に再び防戦一方となった。
チケヴァは何とかレフェリーのカウントに立ち上がったが、アデレイが連打を浴びせ、再びチケヴァはサバイバルモードに追い込まれた。もはや反撃の余地はなく、試合はストップ。リングサイドでは、レフェリーの統制力不足に対して憤る声が複数上がり、とりわけTKV陣営は激しく抗議した。ワードリーは試合内容に納得がいかない様子を見せ、フレーザー・クラークはアデレイとの対戦意思を改めて明確に示した。
試合後、アデレイは、今回のフィニッシュが自身がかつてワードリーに敗れたときのものと似ていると述べ、敗れたジェイミー・TKVを批判しないようファンに呼びかけた。2人は10代の頃からの知り合いであり、敗北したからといって選手として切り捨てるべきではないと語った。議論の余地を残す今回の結末を受け、この物語はまだ完結していないという雰囲気が漂っている。すぐに再戦が行われる可能性もあれば、納得のいかない終わり方の先に別の展開が待っている可能性もある。
メインカード結果
ヘビー級:デイビッド・アデレイ TKO6(0:55)ジェイミー・チケヴァ
スーパーライト級:ジャック・ラファティ TKO5(2:26)コーリー・オリーガン
ヘビー級:デリシャス・オリー UD4(40-36)ミロシュ・ヴェレティッチ
スーパーライト級:カリール・マジッド UD10(97-94、96-94、96-95)アレックス・マーフィー
アンダーカード
スーパーフェザー級:ロイストン・バーニー・スミス UD8(80-72)セサール・イグナシオ・パレデス
スーパーライト級:マーク・チェンバリン UD8(80-72)ミゲル・アンヘル・スカリンジ
フェザー級:ネルソン・バーシャル KO1(1:31)ロドリゴ・マティアス・アレコ
スーパーミドル級:ラムティン・ムサ UD4(40-36)ロビー・チャップマン
スーパーバンタム級:ルイス・ゼト UD4(38-37)ナビル・アフメド
フェザー級:アルフィー・ミドルミス UD4(40-37)アレクサンダー・モラレス