ニューヨーク — エリック・ゴメスは、6月28日の夜、
フロイド・スコフィールドJr.が衝撃的なパフォーマンスを見せた瞬間に、なんとか間に合って席に滑り込んだ。
ゴールデンボーイ・プロモーションズ社長であるゴメスは、スコフィールドが
テビン・ファーマーに勝てると感じていた。というのも、彼自身もオスカー・デ・ラ・ホーヤもスコフィールドの才能を以前から信じていたからだ。
しかし、無敗のライト級戦士スコフィールド(19勝0敗、13KO)に対する信頼はあったものの、
ウィリアム・セペダ相手に連戦で健闘していた
元IBFスーパーフェザー級王者ファーマーを、あれほど圧倒するとは思っていなかったのも事実だった。
ゴメスがリングサイドの席に落ち着く前に、フロイド・スコフィールドはテビン・ファーマー(33勝9敗1分、8KO、1ノーコンテスト)を2度ダウンさせ、圧倒した。経験豊富で実績あるファーマーは、
22歳のスコフィールドに「一泡吹かせてやる」と予告していたが、その言葉とは裏腹に、ホンダセンター(カリフォルニア州アナハイム)で行われたジェイク・ポール対フリオ・セサール・チャベスJr.のアンダーカードで完敗を喫した。
試合はわずか1分18秒で終了。レフェリーのジェラード・ホワイトが、動揺したファーマーがスコフィールドの攻撃に防御できず、危険と判断して10回戦をストップした。
スコフィールドにとってこの快勝は格別だった。というのも、彼は約4か月半前、WBCライト級王者
シャクール・スティーブンソンとの試合から
突然除外され、大きな批判を浴びていたからだ。
当時、スコフィールドの父フロイド・スコフィールド・シニアは、「息子が毒を盛られたために、試合4日前に入院した」と主張。2024年2月22日に開催された「リヤド・シーズン」興行を監督していた英国ボクシング管理委員会は、スコフィールドがサウジアラビアの首都リヤドで入院した事実を受け、スティーブンソンとの対戦を許可しなかった。
「素晴らしかった」とゴメスは『ザ・リング』にスコフィールドのパフォーマンスについて語った。「彼にとっての“お披露目試合”だったよ。元々リスクのある試合だったし、多くの人が彼の負けを予想していた。それを覆して、皆を黙らせた。彼はもう誰とでも戦える。彼自身はシャクール対セペダの勝者と戦いたいと思っている。実現可能かどうか見ていこう。もしセペダが勝てば、その試合は間違いなく組める。」
ゴールデンボーイはセペダ(33勝0敗、27KO)もプロモートしており、セペダは今週土曜、クイーンズのルイ・アームストロング・スタジアムでシャクール・スティーブンソン(23勝0敗、11KO)のWBC王座に挑戦する予定だ。スティーブンソンはデ・ラ・ホーヤのプロモート選手ではないが、ゴメスは、仮にスティーブンソンが「リングIII」(DAZNのペイ・パー・ビュー、米国で\$59.99、英国で£24.99)で勝利すれば、スコフィールドとの再調整にも前向きだと語っている。
「我々は前向きだよ」とゴメスは語った。「(スティーブンソンは)名前のある相手と戦う必要があるし、スコフィールドはこの勝利で一気に注目を集めた。」
スティーブンソンは2か月前、『ザ・リング』の取材で「もう一度スコフィールドと戦うかどうかは、彼が
何か特別なことをやってのけた場合に限る」と語っていた。
「とてつもなく大きなことをやらないと、その話にはならない」とスティーブンソンは言う。「今の時点で、なんで俺がもう一度あいつにチャンスを与えなきゃならないんだ?一度“人生最大のチャンス”を与えたのに、あいつはそれを俺への侮辱で返してきたじゃないか。」
しかしゴメスは、スコフィールドがファーマーを圧倒した勝利こそ、その「とてつもなく大きなこと」にふさわしい内容だと見ている。
「本当に素晴らしかった」とゴメスは語った。「彼は元世界王者をノックアウトしたんだ。その相手は、セペダと22ラウンドを戦った男だ。簡単なことじゃない。それをスコフィールドは、まるで簡単なことのようにやってのけた。しっかり当てて、しっかり仕留めた。……あの場にいた全員が驚いていたよ。我々は彼のことを本当に誇りに思っている。」
Keith Idec は『ザ・リング・マガジン』の上級記者兼コラムニスト。X(旧Twitter)では @idecboxing で連絡可能。