ニューヨーク発 —
シャクール・スティーブンソンは、3か月前にフロイド・スコフィールド・ジュニアに何らかの問題があったとは今も思っていない。スティーブンソンに言わせれば、スコフィールドがライト級タイトル戦を前に気持ちが揺らいだだけだった。
スティーブンソンは、ディミトリー・ビボル対アルトゥール・ベテルビエフのアンダーカードで予定されていた自身との試合のわずか4日前に、フロイド・スコフィールドが
サウジアラビア・リヤドの病院に運ばれた経緯について、納得のいく説明をいまだ受けていない。スコフィールド本人も、プロモーターのオスカー・デ・ラ・ホーヤも、スコフィールドの診断内容に関する書類を提出していない。また、スコフィールドが入院したことを理由に、12ラウンド135ポンド級のタイトルマッチから彼を除外した英国ボクシング管理委員会も、説明を行っていない。
それについてスティーブンソンは驚いていない。というのも、たとえWBCライト級王座を獲得するチャンスがあったとしても、スコフィールドが自分とのリングに上がるとは最初から信じていなかったからだ。
「彼のことは分かってる」とスティーブンソンは最近『ザ・リング・マガジン』に語った。「あいつは最初からこの試合を望んでなかったと思う。世間やファンの声に押されて、本人たちが望んでないことをやらざるを得なくなっただけだ。実際に現地入りして、試合が現実のものになりそうだと気づいた瞬間に、怖くなって引いたんだろうな。」
来月で28歳になるスティーブンソンは、代わりにイギリスのジョシュ・パドリーと対戦し、圧倒的な内容で勝利。試合はANBアリーナで行われ、スティーブンソンは9ラウンドに左構えからのボディブローでパドリーを3度ダウンさせ、ついにパドリーのトレーナーがタオルを投入して試合を止めた。
電気技師として働くパドリー(16勝1敗、5KO)は、スコフィールドの代役として試合の4日前にオファーを受けたばかりだった。
スティーブンソンは、準備期間ほぼゼロでこの難しい試合を引き受けたパドリーの勇気を称賛している。パドリーはライト級リミットを1ポンド下回る134ポンドで計量をパスしており、スティーブンソンはそれを見て「スコフィールドには絶対できなかった」と確信したという。実際、試合の1週間以上前にリヤドでスコフィールドと顔を合わせたとき、彼はすでに異変を感じ取っていた。
「彼らは“何か問題が起きた”ってことにしようとした」とスティーブンソンは語った。「そんな話も聞いたけど、俺はリヤドでスコフィールドを見た時点で、あいつが135ポンドに近い体じゃないってすぐ分かった。あのとき思ったのは、『こいつ、絶対に体重作れない』ってことだった。そして英国ボクシング管理委員会の計量の前日になって、あれこれ起きた。俺は正直、全然驚かなかったよ。」
スティーブンソン(23勝0敗、11KO)は、『ザ・リング・マガジン』のライト級ランキングで3位に位置しており、次戦ではWBC王座の初防衛戦として、指名挑戦者ウィリアム・セペダ(33勝0敗、27KO)と対戦する予定だ。試合は7月12日、ニューヨーク・クイーンズのテニス会場、ルイ・アームストロング・スタジアムで行われる。
ニュージャージー州ニューアーク出身の三階級制覇王者シャクール・スティーブンソンと、メキシコ・サンマテオ・アテンコ出身の強打のサウスポー、ウィリアム・セペダとの一戦は、
『The Ring』が2か月半の間に開催する3度目のペイ・パー・ビュー興行の目玉カードのひとつとして予定されている。ドラフトキングスのオッズで11対1の本命とされているスティーブンソンが、もしセペダに勝利したとしても、スコフィールド(18勝0敗、12KO)との再戦を再設定するつもりはないという。スコフィールドが「再戦に値する」ことを証明しない限り、その話はないと断言している。テキサス州オースティン出身で現在22歳のスコフィールドは、次戦もまだ決まっていない状況だ。
「それを実現させたいなら、あいつは相当でかいことをやらなきゃいけない」とスティーブンソンは語った。「でも現時点では、すでに人生最大のチャンスを与えたのに、それを無駄にして俺の顔に泥を塗ったような相手に、なんでまたチャンスをやらなきゃいけないんだ?」
Keith Idec は『ザ・リング・マガジン』のシニアライター兼コラムニスト。X(旧Twitter)では @idecboxing で連絡可能。