イングランド・シェフィールド発――
ジュナイド・ボスタンは土曜夜、
ビラル・ファワズとの激しい打ち合いの末にキャリア初の敗北を喫し、ファワズが2度目の挑戦でイングランド・スーパーウェルター級王座を奪取した。
9か月前、ロンドンのO2アリーナ併設会場「インディゴ」で行われた初戦では、多くの関係者がファワズの勝利を支持したものの、結果は物議を醸す10回戦のマジョリティ・ドロー(多数採点引き分け)となっていた。
37歳のファワズは「今度こそ疑念をすべて払拭する」と宣言していたが、試合後の驚き交じりの勝利セレブレーション(アナウンサーの読み間違えを除けば)も、
この再戦が再び紙一重の勝負だったことを物語っていた。ナイジェリア生まれのロンドン在住ファワズは、年齢的にも時間との勝負でありながら、次なるステップとして英国王座挑戦への意欲を見せている。
来月行われるクリス・ユーバンクJr対コナー・ベン第2戦のアンダーカードでは、サム・ギリー対イシュマエル・デイビスによる名誉あるロンズデールベルト戦が予定されている。
名アマチュアとして知られるファワズ(10勝1敗1分、3KO)は、本来なら10年前にプロ転向できていたはずだった。しかし、英国市民権にまつわる複雑な問題や数々の困難が立ちはだかり、キャリアの歩みが大きく遅れることとなった。ゆえに、明日が保証されないこの競技の世界で、今後は稼げるチャンスを最大限に生かしたいと考えるのも自然なことだ。
一方、熱気に包まれたユーティリタ・アリーナで行われた今回の激闘はイベント全体のハイライトとなり、1月31日の初戦以上にドラマチックだったことから、ボスタン陣営であるマッチルーム・プロモーションズはすでに“第3戦”への関心を示している。多くの識者が、初戦がボスタンの国内タイトル挑戦ロードの幕開けになると予想していたことを考えると、この展開は意外とも言える。
試合後、マッチルーム・ボクシングCEOのフランク・スミスは『
ザ・リング』誌にこう語った。
「本当に接戦だったけど、自分は1ポイント差でボスタンの勝ちだと思った。どちらに転んでもおかしくなかったが、両者を称えたい。特にジュナイドは3ラウンド目のダウンから立ち上がり、4ラウンドでは何事もなかったかのように戦い抜いた。彼は初戦から大きく成長しているし、その努力は称賛に値する。きっとさらに強くなって戻ってくるだろう。」
3ラウンド中盤、ファワズは見事なオーバーハンドライトをクリーンヒットさせ、
ボスタンはその一撃を全く見えていなかった。ファワズは畳みかけるように連打を浴びせたが、ロザラム出身の若きボクサーは驚異的な粘りを見せ、倒れることなくダウンカウントを免れた。
ボスタンは消耗が激しく、明らかにダメージを負っていたものの、4ラウンドには気迫の反撃を開始。頭の中の“もや”が晴れ、ふらつく足取りを立て直しながら、再び試合の主導権を取り戻そうとした。
マッチルーム代表のエディ・ハーンは、約5,800キロ離れたフィラデルフィアの
ジャロン・エニス控室から配信したウォッチアロングの中で、試合後すぐに採点結果についてコメント。「このカードをもう一度やるのは“十分あり得る”」と再戦の可能性に言及した。
「ジュナイドにはまだ大きな未来がある。彼は若くて、驚くほどのハートを見せた。でも、この男(ファワズ)にも称賛を贈るべきだ。彼は人生でほとんどチャンスを与えられなかったんだから。」
ファワズは現在、正式なプロモーション契約を持っていない。試合後は、マネージャー兼プロモーターのスティーブン・グッドウィンらチームとともにリングサイドで喜びを分かち合う姿が見られた。
マッチルームが契約交渉に動くかどうかは不明だ。というのも、今年初めにボスタンが2度体調不良で日程変更となった際、ファワズが待たされることに不満を示していたからだ。しかし、今回の勝利で“老練なベテラン”となったファワズは、誰も予想していなかった交渉上の優位を手にした。
スミスは続けてこう語った。
「本当に素晴らしい試合だった。3戦目をやるのが一番自然な流れだし、両者が乗り気なら十分に実現可能だ。ジュナイドはいま悔しさでいっぱいだろうが、再戦はあり得る。彼の内容は前回よりも確実に良かった。今後を見守りたいね。」