土曜夜、
フロイド・スコフィールドほど大きな重圧を背負っていたファイターはいなかったと言っても過言ではない。
2月22日、サウジアラビア・リヤドで予定されていたWBAライト級王者シャクール・スティーブンソン戦の週に入院し、
試合を欠場せざるを得なかったスコフィールドは、
テビン・ファーマーとの一戦に大きな岐路を感じて臨んでいた。サウスポーのファーマーは元IBFライト級王者であり、直近3試合では暫定WBCライト級王者
ウィリアム・セペダに2度、現IBFライト級王者
レイモンド・ムラタラに1度と、いずれも判定で敗れたが、いずれも接戦を演じてきた。
まさに、新鋭がプロスペクトから真のコンテンダーへと飛躍するための試練と、ベテラン元王者がまだ自分の居場所があることを証明しようとする戦いの構図だった。崖っぷちに立たされた
スコフィールドは、評価に疑問を残すような辛勝ではなく、完全な破壊劇を見せつけた。初回にファーマーを2度倒し、カリフォルニア州アナハイムのホンダセンターでわずか1分18秒で試合を終わらせた。
「肩の荷が下りたような気持ちだ、と感情をあらわにしたスコフィールドは勝利後に語った。2月のこと以来、ずっと疑われていた。多くの人がこの試合に勝てないと思っていた……2月の件のあと、本当に落ち込んでボクシングを辞めたいと思ったし、ここにいるのも嫌だった。コメントを見るのが辛くて。でも息子が自分を支えてくれて、前に進むことができたんだ。」
わずか2分足らずで、スコフィールド(19勝0敗13KO)は、セペダ(33勝0敗27KO)やムラタラ(23勝0敗17KO)がファーマー相手に32ラウンドをかけてもできなかったことを成し遂げた。ファーマー(33勝9敗1分8KO)がストップ負けを喫したのは、2012年に元スーパーフェザー級王者
ホセ・ペドラサに8回TKO負けして以来だった。
22歳のスコフィールドは、開始30秒少し過ぎに強烈な右ストレートを放ち、ファーマーをマットに沈めた。足元がふらつく中で立ち上がったファーマーだったが、スコフィールドの右アッパーと左フックを受けて再び倒れ込んだ。ファーマーは再度立ち上がったものの、さらにスコフィールドの連打にさらされ、レフェリーのジェラルド・ホワイトが試合を止めたのは、初回1分18秒の時点だった。
この初回KOはスコフィールドにとってキャリア7度目の初回ストップ勝利となった。
次の試合でスコフィールドには数多くの選択肢がある。WBAランキングで2位につける彼は、世界タイトル挑戦までそう遠くない位置にいる。WBAライト級王者の
ジャーボンテイ「タンク」デービス(30勝0敗1分28KO)は、3月1日に行われた
ラモン・ローチ・ジュニアとの
物議を醸した引き分けの再戦を、8月16日に予定している。
厳しい試練になるはずだった一戦は、スコフィールドのキャリアで最も印象的な勝利となる力強いアピールへと変わった。数か月にわたる軽視や失望をすべて払拭し、この階級の新星たちと肩を並べる実力があることを証明した。
アブドゥラ・メイソンをはじめとするタレントがひしめく層の厚いライト級戦線で、スコフィールドの未来がどうなるかは分からないが、この土曜の勝利は大きな前進であったことは間違いない。
いまや、スコフィールドとライト級トップ選手たちとの対戦は、いずれも魅力的なカードになるだろう。