一瞬で流れをひっくり返す爆発力こそが
ファビオ・ワードリーをファンに愛されるエキサイティングな存在にしてきた。ただ、ヘビー級戦線の頂点で生き残るには、その希少な一撃必殺の力に頼り切ってはいけないことも、彼は十分理解している。
ホワイトカラー・ボクサーからプロに転向して以来、ワードリーは目覚ましい成長を見せてきた。しかし、6月に才能はあるが未知数だった
ジャスティス・フニを追い詰めるのに9ラウンド以上を費やした試合は、まだ学ぶべきことが多いと痛感させるものだった。
ポイントで劣勢に立たされ、打開策も見えなかった30歳のイプスウィッチ出身男は、
10回途中に渾身の右を叩き込み、一撃で試合を終わらせた。ワードリーは自信家でありながら、同時に現実的でもある。勝利直後に控室へ戻った瞬間から、すでに試合の振り返りを始めていた。
ベン・デイヴィソン・パフォーマンス・センターのチームとともに、そのパフォーマンスの中で即座に修正可能な点もあれば、試合映像を繰り返し検証して初めて見えてくる課題もあったはずだ。
ワードリー自身、この段階に到達しながらもまだ伸びしろが無数にあることを幸運だと感じている。
「改善点はいくつもある」ワードリーはtalkSPORT出演時にそう語った。
「正直、あまり多くをオンラインでばらして研究材料にされたくはないけど、改善点は山ほどある。
誰が見ても明らかな部分もあれば、そうじゃない部分もある。俺とチームが細かく注目して調整すべき微妙な点もあるんだ。
しかもそれは試合当日の内容に限らない。準備の仕方や試合に向かうプロセスにも修正が必要だ。でも、最終的にあの試合を勝ち切ったことで、自分を見直し、再評価する大きなきっかけになったんだ」
フニをなぎ倒した劇的な右は、ファビオ・ワードリーにジョセフ・パーカーとのビッグマッチを呼び込み、
世界タイトル戦に手が届く位置まで押し上げた。だが彼は、その一発がこれまでの過程をかき消すことを許していない。
細かい修正を積み重ねるために一歩横にそれるのではなく、ワードリーは経験豊富で勢いに乗るパーカーとのチャンスに迷わず飛びついた。
恐れや不安を抱くのではなく、フニが突きつけた数々の難題を突破したことで、より完成度の高いファイターになれると信じている。
「もしあの試合を楽にこなして完璧に勝っていたら、ジョセフ・パーカー戦に挑む時の自分はもっと経験不足だったと思う。自分を振り返り、『ここを直さなきゃいけない、XやYやZを調整しなきゃいけない』と気づく材料が少なかったはずだ。だからある意味では、あの試合は隠れた幸運だったんだ」
「結局のところ、20戦目に入ったとはいえ、俺はまだまだ実戦の中で学んでいる最中なんだ」