ブライアン・ノーマン・ジュニアがカネロ・アルバレスに番狂わせを起こす相手としてテレンス・クロフォードを選ぶ理由は、個人的な付き合いだけによるものではない。
無敗のWBOウェルター級王者であるノーマンは、自身が
カネロ・アルバレスのファンでもあると認めている。しかし、両者の最近のパフォーマンスを見たうえで、
9月13日に行われるカネロのザ・リング・マガジン認定、IBF、WBA、WBC、WBOスーパーミドル級タイトル戦では、
クロフォードがメキシコの英雄をポイントで上回る力を十分に持っていると確信している。
多くのブックメーカーは、クロフォードが2階級上げて154ポンドから168ポンドのスーパーミドル級で5階級制覇を目指すこともあり、アルバレスを約2対1の勝利予想で有利としている。
「実はクロフォードに賭けているんだ」とノーマンはザ・リング・マガジンに語った。「さっき自分のメンタルの話をしたけど、どれだけ自分がこの競技に真剣に取り組んでいるかという点で、クロフォードも同じようにボクシングに人生を捧げている男なんだ。彼は本当に規律を守る選手だ。
彼はフロイド・メイウェザーやバーナード・ホプキンス、マービン・ハグラーといった、一年中ボクシングに真摯に向き合う規律ある選手の一人だ。だから、クロフォードには間違いなくカネロを倒すだけの心構えとメンタリティが備わっていると思うよ。」
多才で聡明、そして粘り強いクロフォードは、プロ入りから17年が経った今もなお無敗を誇っている(41勝0敗、31KO)。ネブラスカ州オマハ出身の37歳は、現在もザ・リングのパウンド・フォー・パウンドランキングで3位に位置しており、その上にはヘビー級でリング誌、WBA、WBC、WBOの王座を保持する
オレクサンドル・ウシク(23勝0敗、14KO)と、スーパーバンタム級で4団体統一を果たしている
井上尚弥(30勝0敗、27KO)がいる。
ノーマンは2021年9月にクロフォードとスパーリングを行い、貴重な経験を積んだ。クロフォードは時折ノーマン(27勝0敗、21KO、1無効試合)を気にかけており、3月29日にフォントンブロー・ラスベガスで行われたプエルトリコのデリック・クエバス(27勝2敗1分、19KO)との試合も観戦に訪れた。こ
の試合でノーマンは3回TKO勝ちを収めた。その5週間後、ノーマン
はウィリアム・スクル(23勝1敗、9KO)に12回判定勝ちを収めたカネロ・アルバレスの「信じられないほど退屈な試合」の第2ラウンドで眠ってしまったという。
「試合を見ていたんだけど」とノーマンは振り返った。「気がついたら目が覚めて、クロフォードとカネロがフェイスオフしていたんだ。何が起きたのか分からなかった。でも試合のハイライトを見直してみたら、ハイライトなんてなかった。クロフォードはああいう展開には絶対にさせないと断言できるよ。」
5月3日にサウジアラビア・リヤドのANBアリーナで行われたアルバレスの精彩を欠くパフォーマンスは、34歳の彼が現在どのようにキャリアと向き合っているかについてノーマンの懸念を強める結果となった。グアダラハラ出身のアルバレス(63勝2敗2分、39KO)は、ザ・リングのパウンド・フォー・パウンドランキングで8位に位置しているが、スカル戦での覇気のない内容や、無敗のデビッド・ベナビデスとの対戦を避けている姿勢には激しい批判が集まっている。
「おかしいことに、実は俺もカネロのファンなんだ」とノーマンは語った。「でも時が経つにつれて――みんな今ではそう言ってるけど――やっぱり衰えが見えてきてる。昔のような動きはもうしていない。俺が一番好きなカネロの試合はミゲール・コット戦なんだ。あの時は頭の動きも良かったし、フットワークもディフェンスも完璧だった。コンビネーションも全部出していたよ。」
「最近のカネロはシルクのシーツだの、シルクのあれこればかりで、昔ほどハングリーじゃなくなってる気がする。ただ体重を作って、あれこれ手に入れたって、それだけじゃ意味がない。昔みたいに自分を追い込んでほしい。カネロのことは大好きだけど、最近はちょっと緩んでるよ。」
ジョージア州コニャーズ出身のノーマンは、ザ・リング誌が選ぶウェルター級1位の挑戦者であり、王者ジャロン“ブーツ”エニス(34勝0敗、30KO、1無効試合)が保持するIBFおよびWBAウェルター級王座への挑戦も視野に入れている。24歳のノーマンは、昨年クロフォードが階級を上げて返上したWBO王座の防衛戦として、6月19日に東京・大田区総合体育館で、日本の挑戦者・佐々木尽(19勝1敗1分、17KO)と対戦する予定だ。
Keith Idec はザ・リング・マガジンの上級ライター兼コラムニストである。X(旧Twitter)では @idecboxing で連絡を取ることができる。