イルンガ・マカブは2022年2月にバドゥ・ジャックに敗れてWBCクルーザー級王座を失った。しかしジャックが階級を上げようとしたことで王座は空位となり、マカブにはノエル・ミカエリアンと空位王座を争う機会が与えられた。

両者ともアウェーでの戦いであったが、マカブは自分が平等に扱われていないと感じ、状況がミカエリアンに有利に傾いていると感じていた。

準備のため、マカブはルーマニアのオラデアにあるジュール・ボクシング・ジム、そしてハンガリー国境近くのサンマルティンで、ダミアン・デュランドトヘッドトレーナーやチームとともに2カ月間のトレーニングキャンプを行った。

「準備は完璧に、真剣かつ厳格に行われ、何一つ偶然に任せなかった」とマカブは『ザ・リング・マガジン』に語った。「スパーリングパートナーは皆質が高く、チームも完全だった。WBCクルーザー級の王座を取り戻すために、すべて順調に進んでいるように見えた」

しかしキャンプ自体は順調であったものの、マカブはビザの手続きに伴う複雑な問題により渡米で大きな困難に直面した。試合の5日前にオラデアからブカレストへ飛んだが、ビザが発給されるのを待つために2日間ホテルに滞在せざるを得なかった。ようやくビザを受け取った後にイスタンブール行きの飛行機へ搭乗したものの、出発が遅延したため空港で6時間待機することになった。

ようやく計量前日の朝にマイアミに到着し、時差ぼけを防ぐため夜まで起きていなければならなかった。

「アメリカのビザをジュニアが受け取るはずだったので、到着が大幅に遅れた」とマカブのマネージャー、タリク・サアディは説明した。「ドン・キング・プロモーションズで何が問題だったのか分からない。彼らに聞くべきだろう。しかし確かなのは、このビザを受け取るために我々は試合以上に戦わなければならなかったということだ。信じられない話だが、DKPの弁護士が8月末から11月に向けて手続きをしていたのだから。我々にとって大きな驚きだった。なぜならジュニアはすでにアメリカで試合を行っており、その時は何の問題もなかったからだ。

つまり、我々は非常に困難な挑戦を背負って出発したということだ。私はパリにいたが、アメリカには行きたくなかった。しかしジュニアが『自分がこの世界タイトル戦で共同挑戦者、そしてかつての世界王者としてどう扱われたのか、世界中に見せたい』と言ったのだ。

彼は『俺たちはチームだ。誰からも、何からも逃げない』とも言った。だから私はシャルル・ド・ゴール空港から飛び、我々全員は公式計量のわずか20時間前にマイアミで合流した」

計量では、両者とも200ポンドのリミットを余裕を持ってクリアした。ミカエリアンは196ポンド半、マカブは197ポンド3/4であった。

「いつも通りに体重を作った。我々はアフリカ出身であってもプロフェッショナルなチームだ」とマカブは語った。「疲れていたし、扱われ方に非常に失望していた。だから早く試合を終えて気持ちを切り替えたいと思った」

試合は長く続かなかった。マカブは2回に倒され、3回でストップされた。

当然ながらマカブは大きな打撃を受けた。長年のマネージャーであるサアディは、ここ数日のダメージが蓄積して結果に現れたと説明した。

「私はジュニアに、地球上の誰も時差ぼけには勝てないと説明した。体が『もう止まる』と決めた時には、目は閉じてしまい、そこでおやすみなんだ」とサアディは語った。「これは相手の責任ではなく、彼には何の関わりもない。私はプロのマネージャーとして、我々のコーチや相手陣営が積み上げてきた仕事を否定することはできない。ただし我々が同じ条件下に置かれていなかったのは事実であり、その結果があの夜、誰の目にも明らかになったのである」

その後、ミカエリアンはライアン・ロジッキとの義務防衛戦が予定されていたが実現しなかった。2024年12月、ドイツ・ハンブルクで行われたWBC総会で、ジャックは「休養王者」と宣言され、ジャックとミカエリアンの立場が入れ替わることとなった。

ジャックはロジッキと対戦することになったが、カナダ人のロジッキが負傷し、代わりにミカエリアンが出場することになった。両者は3月5日にリヤドで対戦し、ジャックが12回の末、物議を醸すマジョリティ判定で勝利した。

しかしミカエリアンは判定の疑問点を理由に控訴し、それがWBCに認められた。両陣営は7月15日の期限前に再戦合意に達したが、日程や会場は未定である。

一方、マカブは13カ月ぶりにリングに戻り、8月23日にコンゴでチャールズ・マニュチと対戦し、再起を目指す。

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