シーラーズはスーパーミドル級初戦で、ベルランガのような強打者にどう順応するのか。カネロ・アルバレス戦の後半で
ベルランガが見せた奮闘は、彼が成長し、168ポンドの上位戦線に足を踏み入れた兆しなのか。
だが、最も大きな問いは、WBCスーパーミドル級タイトル挑戦者決定戦を前に、シーラーズ(21勝0敗1分、17KO)が新たなトレーナーであるアンディ・リーにどれだけ順応したかという点にある。試合は、ニューヨーク・クイーンズの
ルイ・アームストロング・スタジアムで行われるザ・リングの「Ring III」ペイパービュー興行(
DAZN配信)で行われる予定だ。シーラーズは、
2月22日にWBCミドル級王者カルロス・アダメスとの引き分けを経て、長年タッグを組んできたリッキー・フネスからリーへとチームを変更。「新たな段階に到達するために何か変化が必要だった」と理由を語っている。
「俺は常に頭を動かし続けるために新しいアイデアが必要な人間なんだ」とシーラーズはザ・リング誌に語った。「天井を突き破って次の部屋に入っていきたい。アンディはそれを実現できる男だと感じた。
ベン・ウィッタカーとのトレーニングを見に行って、その内容が気に入った。彼はとても礼儀正しく、元世界王者として経験豊富で、周囲からも非常に尊敬されている。それに、落ち着いたオーラを持っている。この決断は間違いないと思ってるよ。」
リーの指導する選手には、WBOヘビー級暫定王者ジョセフ・パーカー、2020年東京五輪銀メダリストでライトヘビー級のホープであるウィッタカー、そしてウェルター級の有望株
パディ・ドノヴァンがいる。リー自身もかつてプロとして35勝3敗1分(24KO)の戦績を残し、2006年から2017年まで活躍した元WBOミドル級王者だ。
トレーナーとしての道を選んだリーは、自身の師でありボクシング殿堂入りの名伯楽エマヌエル・スチュワードの足跡をたどっている。スチュワードはその時代を代表する名トレーナーで、トーマス・ハーンズ、レノックス・ルイス、ウラジミール・クリチコといった殿堂入りファイターたちを育てた人物だ。リーもまた、スチュワードと深い信頼関係を築きながら指導を受けていたが、2012年にスチュワードが亡くなっている。
「アンディは、私にとって最も親しい男性の友人であり、近代最高のトレーナーと考えるエマヌエル・スチュワードの教え子なんだ」とランプリーはザ・リングに語った。「彼はスチュワードの血統をそのままリングに持ち込む存在。もし俺が明日プロボクサーになるとして、尊敬するトレーナーたちの中から誰か一人を選べと言われたら、アンディ・リーは確実にその候補の一人だ。最終的に彼を選ぶ可能性も高い。それだけスチュワードと一緒にやってきたことに安心感を覚える。だからシーラーズがリーと組んだのは素晴らしい決断だと思う。」
とはいえ、ランプリーはこうも語っている。シーラーズとリーの相性が本当に良いのか、それが分かるのは実際にベルランガとのリングに上がったときだと。
「新しいトレーナーと組んで最初の試合で何が起きるかなんて、誰にも分からない」とランプリーは言う。「5~6ラウンドぐらい経てば少しは見えてくるかもしれないが、まずはそのラウンドを乗り切らないといけない。相手はパンチ力のある選手だからね。」
理想を言えば、こうしたビッグファイトの前に一度は新トレーナーと試合をこなしておきたいところだろう。だが、ジュリアン・ウィリアムス、カレブ・プラント、カイロン・デイヴィスらを指導するスティーブン“ブレッドマン”エドワーズは、7月12日、シーラーズがリーの指示を素直に聞く可能性は高いと見ている。ただし、ランプリーと同じく「実際にリングでどうなるかは未知数」だとも述べている。
「俺の経験上、新しくトレーナーと組んだばかりのときは、選手が一番頑張るんだ。トレーナーに認められたいからね」とエドワーズはザ・リング誌に語った。「長く一緒にいると、逆に気が緩んで、以前やっていたことをやらなくなったりする。でも新しいトレーナーには良いところを見せたいから、素直な生徒になるんだよ。もちろん、すべてがそうなるとは限らないけど、たいていの場合そうだ。」
「アンディ・リーは優れたトレーナーだ。ただ、彼らの間にどんな化学反応が起きるかは、まだ分からない。」