ティム・チューは、この1年足らずの間に再びキース・サーマンと対戦すると思っていたが、最終的に
セバスチャン・フンドラとの試合に合意した。
今回は、そのフンドラとの対戦こそがチューが望んだカードであった。
2024年3月、ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催予定だったプレミア・ボクシング・チャンピオンズのPPV大会で、チューと
サーマンがメインを務める直前に、フンドラがサーマンに代わる対戦相手として急遽選ばれた。オーストラリアのチューは、元WBA/WBCウェルター級王者のサーマンに勝つことで米国でのスター街道に乗れると考えていた。
しかしサーマンがトレーニング中に上腕二頭筋を負傷し、フンドラはチュー対サーマンのアンダーカードからメインイベントへ昇格する形で喜んで引き受けた。フンドラは本来、ウクライナの強豪
セルヒー・ボハチュクと対戦する予定だったが、急きょチューとの154ポンド級WBC・WBOタイトル戦に臨むことになった。
チュー(25勝2敗18KO)は、フンドラ(22勝1敗1分14KO)との試合で2ラウンド終了のゴング直前に頭部中央に大きな裂傷を負い、血と痛みに耐えながらも判定で惜敗した。この傷はフンドラの肘が頭部にかすめたことが原因であった。
フンドラは当時、再戦を約束するとチューに伝えた。しかしその後、2024年10月19日にフロリダ州オーランドで行われたIBFスーパーウェルター級王者
バフラム・ムルタザリエフ(23勝0敗17KO)との試合でチューが4度ダウンを喫し、3ラウンドTKO負けを喫したことで、フンドラとの再戦の注目度は下がった。
一方で当初は、フンドラがWBOの指名挑戦者であるザンダー・ザヤスを相手にWBC・WBOの防衛戦を行う見込みだった。
チューはその後、シドニーでスペンサー(19勝2敗11KO)に勝利した際に、現地に観戦に来ていたサーマン(31勝1敗23KO)と舌戦を繰り広げ、サーマンとの再戦に向けた動きが強まった。さらにその3週間前、
サーマンはオーストラリアのブロック・ジャービス(22勝2敗20KO)を3ラウンドで下し、チュー戦の興行を盛り上げるための試合を行っていた。
しかしフンドラのプロモーターであるサンプソン・ルコウィッツと、ザヤスのプロモーターであるトップランクは、フンドラ対ザヤス(21勝0敗13 KO)戦の合意に至らず、
フンドラはWBO王座を返上し、チューが望んでいた再戦が実現することになった。
「本当に感謝している」とチューはフンドラについて
『ザ・リング・マガジン』に語った。「約束を守ってくれているし、彼の人間性を表していると思う。」
オーストラリアでサーマンと戦うことは大きなビジネスになっただろうが、
チューは46歳のフィリピンのレジェンド、マニー・パッキャオの復帰戦を含むPPV興行のアンダーカードで、初のプロ敗戦を晴らす機会を得たことに満足している。
「すべての道はサーマンに通じると思っていた」とチューは振り返る。「オーストラリアで大きなブロックバスター級の試合になると思っていたし、それが頭の中の計画だった。だがジョーイ・スペンサー戦が終わった瞬間に『再戦を目指そう』と考えた。あの歴史的な試合をもう一度体験して、あの負けを正したいと思った。キャリアにとっても人生にとっても最も意味深い試合だ。」
ドラフトキングスのオッズでは、再戦においてチューが-145でやや有利、フンドラが+115とされている。12ラウンドの154ポンド級の試合はフンドラのWBCスーパーウェルター級王座がかかり、4試合構成のPPV興行の共同メインとして行われ、メインでは
マニー・パッキャオ(62勝8敗2分39KO)がWBCウェルター級王者マリオ・バリオス(29勝2敗1分18KO)に挑む(東部時間午後8時/太平洋時間午後5時、PPV価格79.95ドル)。
Keith Idecは『ザ・リング』のシニアライターおよびコラムニストである。X(旧Twitter)@
idecboxingで連絡可能。