多くのプエルトリコ出身ボクサーにとって、ニューヨークはボクシングのリング内における「ホーム」となってきた。
国際ボクシング殿堂入りを果たし、複数階級制覇を成し遂げたフェリックス・トリニダードやミゲール・コットは、マディソン・スクエア・ガーデンを拠点として活躍した。アマンダ・セラノは7月11日、女子スーパーライト級4団体統一王者ケイティ・テイラーとの三度目の対戦で、同会場のメインイベントを飾る予定である。
エドガー・ベルランガや
ザンダー・ザヤスといった新進気鋭のプエルトリコ系ボクサーたちも、ニューヨークで度々試合を行ってきた。
しかし、プエルトリコのファハルド出身であるスブリエル・マティアスは、これまでの24戦で一度もニューヨークで試合を行ったことがなかった。
その状況は、7月12日に変わる。元IBF世界スーパーライト級王者のマティアスは、ニューヨーク・クイーンズにあるルイ・アームストロング・スタジアムで開催される『The Ring』誌主催のPPV興行にて、WBC世界スーパーライト級王者アルベルト・プエジョと対戦する。マティアス(22勝2敗、22KO)にとってキャリア初となるニューヨークでの一戦であり、共同プロモーターであるドミトリー・サリタは、彼が次なるプエルトリコ出身のスター選手として名を上げるチャンスになると語っている。
「真のプエルトリコ人スターを作り出すには、ニューヨーク市のコミュニティと彼らを結びつける必要がある」と、サリタは
『ザ・リング・マガジン』に語った。「それが、我々がスブリエル・マティアスでやろうとしていることだ。この試合は王者との重要な対戦であり、特別な会場での開催であるため、彼のキャリアを次の段階へ押し上げる絶好の機会となる。我々は、スブリエル・マティアスにとってこのチャンスをとても楽しみにしている」
33歳のマティアスは、2024年6月15日にプエルトリコでリアム・パロに判定負けを喫し、IBF王座を失って以降、連続して2試合をストップ勝ちしている。前戦は
3月1日にファハルドで行われたガブリエル・ゴラズ・バレンスエラ戦で、8ラウンドでTKO勝利を収めた。この試合は、サリタ・プロモーションズとの共同プロモート契約後初の試合であり、IBF世界ウェルター級王者リチャードソン・ヒッチンスの指名挑戦者としての地位を確立した一戦でもあった。
しかし、マティアスは元ライト級4団体統一王者ジョージ・カンボソスを8ラウンドでストップしたヒッチンス(20勝0敗、8KO)との対戦を待たずに、WBC王者アルベルト・プエジョ(24勝0敗、10KO/ドミニカ共和国出身)との対戦チャンスを得た。
この試合は、ベルランガ対ハムザ・シェラーズの前座として行われる。プエジョは2024年6月15日に、現WBA世界スーパーライト級王者ゲイリー・アントワン・ラッセルにスプリット判定で勝利し、WBC暫定王者から正規王者へ昇格した。その後、唯一の防衛戦では、3月1日に
サンドル・マルティンと対戦し、再び僅差のスプリット判定で勝利を収めている。マティアス対プエジョは、WBCスーパーミドル級挑戦者決定戦であるベルランガ対シーラズ戦や、
シャクール・スティーブンソン対ウィリアム・セペダによるWBCライト級王座戦といったカードに埋もれ、あまり注目されていない。しかし、マティアスの休みないプレッシャーと手数の多さに対し、プエジョの長身でリーチのあるサウスポーとしてのスタイルがぶつかり合うこの一戦は、最終的に7月12日の興行で最も話題をさらう試合になるかもしれないとサリタは見ている。
そしてこの試合を通じて、ニューヨークの地で新たなプエルトリコ人スターが誕生する可能性がある。
「彼のプロモーターとして関われるのは本当に素晴らしいことだ」と、サリタは語った。「この試合は必ずや主役を奪うだろう」