シャクール・スティーブンソンには、試合に勝つためのいくつかのスタイルがある。
パンチ力に関しては揶揄されることもあるが、元五輪銀メダリストの彼はすでに何度もノックアウト勝利を収めている。
最近のウィリアム・セペダ戦では、リング中央で堂々と打ち合える実力も証明してみせた。そして、おそらく彼が最も得意とするのは、「頭脳」で相手を上回り、アウトボクシングで圧倒することだ。
すべてをこなせるスティーブンソンだが、やはり最も楽しんでいるのは“考えるボクシング”だという。わずか一歩下がって相手のパンチを空振りさせる──その瞬間こそ、彼にとって何よりの快感なのだ。
才能という点ではシャクール・スティーブンソンに肩を並べる者はほとんどいないが、彼を他の全選手と一線を画す存在にしているのは、その「頭脳」だ。──いや、正確には“ほとんどすべての選手”と言うべきかもしれない。
「同じ階級で“考えるレベル”にあるのは、おそらく
アンディ・クルスだけだ」とスティーブンソンは『Cigar Talk』のナジとのインタビューで語った。「彼は本当にすごいファイターだよ。」
プロ経験の浅い選手に対して、スティーブンソンがここまで注目するのは極めて珍しい。だが、プロわずか6戦ながらも、元3階級制覇王者の目にクルスは明確な存在感を放っているという。
それは角度のついた攻撃なのか? 惑わせるようなフットワークか? それとも破壊的なパワーか?──そのすべてが際立っているのだ。
わずか数戦のうちに、元五輪金メダリスト(2度)が慎重にキャリアを積み上げ、
日本の三代大訓を5回TKOで下した先月の勝利により、IBFの新王者
レイモンド・ムラタヤへの指名挑戦権を獲得するまでに至った。
スティーブンソンは笑みを浮かべながら、無敗のレイモンド・ムラタヤ(23勝0敗17KO)に「幸運を」とエールを送り、「自分はどちらの肩を持つわけでもなく、ただその戦いを見届けたいだけ」と語った。
強敵との対戦を避けるようなことはスティーブンソンの流儀ではない。だからこそ、将来的にアンディ・クルスが自分の前に立ちはだかるかもしれないことを見越して、すでに彼を攻略するための戦略を練り始めている。
「彼は戦略的だ」とスティーブンソンは続けた。「でも、いざ拳を交えるときが来たら、俺が奴のすべてを見抜いてやるよ。」