30歳のウクライナ人はどうしてもタイトルショットを手にしたかった。しかし、そのためには土曜ラスベガスで行われた
テレンス・クロフォード対カネロ・アルバレスのアンダーカードで
ブランドン・アダムスに勝たなければならなかった――できれば派手なKOで。
仕事を片づければ、それで3連勝となり、あとは自然に道が開けていくはずだった。
簡単にいくはずだった。だが、アダムスはそのシナリオ通りには動かなかった。
無冠ながら実力を秘めた挑戦者、ブランドン・アダムスは2021年に8ラウンドでボハチュクをストップした男だ。そして今回もやり遂げた。今度は判定で、
しかもかなり差をつけての勝利だった。 計画が一気に崩れたセルヒー・ボハチュク(26勝3敗、24KO)は、それでも敗北を受け入れながら、自分を支えてくれる大切な人たちへ感謝を示した。
「チーム、家族、そして自分を信じ、そばにいてくれるすべての人にありがとう」とボハチュクはインスタグラムに投稿した。
接近戦を好むボハチュクだが、この日はアダムス(26勝4敗、16KO)がよりフィジカルで勝り、非情で、絶対に負けを受け入れなかった。
結局、アダムスの粘り強さと勝利への執念が実を結んだ。彼はいま、次のチャンスを待つだけだ。その電話が鳴るのは時間の問題だろう。
一方のボハチュクは、自分の次の一手を見出せずにいる。タイトルへの夢は細い糸にぶら下がった状態で、実現のためにはさらに多くの努力が必要だと理解している。
しかし、落ち込むつもりはない。何がうまくいかなかったのか明確には分からないが、もう二度と判定で敗北を喫さないよう、これまで以上にハードに取り組む覚悟を固めている。
「学んで、これまで以上に強く戻る。必ず戻る」とボハチュクは語った。