イングランド・ボーンマス発 —
アロイス・ジュニアは1週間を通して、
エリス・ゾロを残酷な形で倒し、なぜ自分がクルーザー級で最も注目されるプロスペクトの一人と見なされているのかを改めて証明すると大口を叩いていた。
ジュニア(11勝1敗、9KO)は勝利したものの、ライアン・ガーナー対リース・ベロッティのセミファイナルとして行われた地味な10ラウンドを経て、ユナニマス・デシジョンで辛くも逃げ切ったと言えるだろう。
派手で自信満々なジュニアは、試合週のムードに敵意を持ち込んだが、それはゾロ(18勝3敗、7KO)に無謀な戦いをさせるための試みだったのだとすれば、効果はなかった。元『ザ・リング』誌のタイトル挑戦者であるゾロは、自身の勝利の道が長期戦にあることを理解しており、落ち着いて左に回りながらジャブを突いていた。
ジュニアもまた、辛抱強くボクシングを展開した。リングを狭めようとし、ときおりボディへ強烈なフックを打ち込んだが、得意のコンビネーションを放つには足がうまく近づかず、苦戦を強いられた。
内容は痛々しいほどにスローだった。
ジュニアの評価はここ数カ月で急上昇したが、まだキャリア11戦目であり、連打を組み立てるよりも強打の単発を狙うという過ちを犯しており、その戦法は慎重なゾロの思うつぼだった。
ジュニアは第5ラウンドを連打で始めたものの、返しの強烈な右を被弾し、再びペースは落ちた。ゾロはラウンド終了のゴングに合わせ、もう一発クリーンな右を打ち込んだ。
どのラウンドも同じような展開になり始め、スローペースはゾロにとって好都合だった。ジュニアは大きな右を狙ったが、動きは非常に読まれやすくなっていた。ゾロは自信を深め、うまく間合いを外してジュニアに再三リセットを強いた。
第8ラウンドの時点で、勝敗は五分に見えたが、それでもジュニアに緊迫感は見られなかった。ゾロはリングを回り続け、フェイントを交えながらジャブを打ち込み続けた。ジュニアは右アッパーをかすめさせた場面もあったが、安定して有効打を当てるのに苦しんだ。
試合が拮抗する中、ジュニアは最終ラウンドでやや積極性を見せ、僅差で取った可能性はあるが、印象的なパンチはなかった。そして、採点発表まで場内には緊張感が漂った。
だが、採点はあまりに広かった。ケビン・パーカーは96-94でジュニア、ヴィクター・ラフリンは98-93、マーク・ベイツは97-93でいずれもジュニアを支持した。
ジュニアは空位のWBCインターナショナル王座を獲得したが、期待外れのパフォーマンスだった。
カーティス、英国デビュー戦で勝利
英国デビュー戦を迎えた19歳のスーパーフライ級、トニー・カーティス・ジュニアは、タンザニア出身のサウスポー、チャールズ・トンド(16勝10敗3分、7KO)との6ラウンド戦で良い試練を受けた。
伝説的なマルチ階級世界王者ロイ・ジョーンズ・ジュニアに師事するロンドン生まれのカーティス・ジュニア(11勝1敗、3KO)は、3年前にメキシコでプロデビューし、タイやドバイでも試合経験を積んできた。
試合開始直後、リードの右でトンドを驚かせたが、打ち合いに応じた結果、強烈な左をもらってしまった。
そこからは後退しながらスピードを活かすボクシングに切り替えたものの、アゴが上がったままで、トンドにロープ際へ詰められると動きが雑になった。
トンドは脅威を感じていない様子でプレッシャーを強め、第4ラウンドの冒頭には連続攻撃を仕掛けた。カーティスは多くのパンチをかわしたが、試合の流れは徐々にトンドの土俵に移っていった。
それでもカーティスは距離を保ち、有効打を重ねて判定を勝ち取った。スコアは59対55だった。
イシャク、デビュー戦で勝利
ハッサン・イシャク(1勝0敗、1KO)は大きな注目を集める中でプロデビューを果たし、見事なスタートを切った。スーパーバンタム級での試合で、ブランダン・ガジャルド(3勝8敗1分、1KO)を相手に鋭さを見せ、第3ラウンドでメキシコ人をストップした。
世界ランク入りしているスーパーミドル級の従兄、
ハムザ・シーラズが見守る中、イシャクは緊張する様子もなく、冷静にガジャルドを崩していった。21歳のイシャクは素早い右で相手の頭を跳ね上げさせ、反撃がほとんどないのを見てギアを上げ、連続の右でガジャルドを追い詰め、レフェリーが第3ラウンドで試合を止めた。
今後ははるかに厳しい試練が待っているものの、イシャクは落ち着きと正確さを兼ね備えており、早期の再戦を目指している。
フェイル、成功のスタートを切る
かつて高く評価されたアマチュアだった
カール・フェイルだが、プロキャリアは停滞していた。
しかし、27歳のノーサンプトン出身の彼は、およそ2年にわたる負傷離脱から復帰し、攻撃的なミッドランズ地区ジュニアミドル級王者アミール・アブバカー(9勝1敗、6KO)を8ラウンドにわたる激闘の末にストップ。自身の持つ確かなポテンシャルを再び開花させるべく前進を目指している。なお、この試合は英国タイトル挑戦者決定戦も兼ねていた。
序盤から両者は激しいパンチを交錯させたが、フェイルの手数の速さとタイミングの良さは明らかだった。彼は強打をいくつか被弾したものの、サウスポーのフェイルは初回だけでも複数回アブバカーをぐらつかせた。
打ち合いに応じるのではなく、身長6フィート1インチ(約185cm)のフェイル(11勝0敗、4KO)は、自身のスキルとフットワークを巧みに活かした。一時的に足を止めてしまう場面もあったが、概ねジャブとストレートの左でアブバカーを寄せつけなかった。
鋭いカウンターを警戒した王者アブバカーは、慎重なペースで攻めを続けた。フェイルがロープに詰まると、アブバカーは右や左フックを当てることができたが、連打にはなかなかつながらなかった。
そして第8ラウンドの中盤、フェイルは完璧な左フックを見舞い、アブバカーをぐらつかせた。そこからの追撃も正確で、クリーンヒットを連発。レフェリーのケビン・パーカーが試合を止めた。ストップの時刻は2分03秒だった。
ビーヴァン、無傷の戦績をキープ
スーパーミドル級の有望株として注目を集めるテイラー・ビーヴァン(5勝0敗、5KO)は、ボスニアのズデンコ・ブレ(15勝16敗、3KO)を第3ラウンドでストップし、完璧な戦績を維持した。
24歳のビーヴァンは開始直後から前に出て、頭部とボディへの攻撃を巧みに織り交ぜてプレッシャーをかけた。ブレは動き回りながら時おり反撃を試みたが、完全に火力で圧倒された。第3ラウンド序盤、ビーヴァンはブレをコーナーに追い込み、左フックでダウンを奪取。カウント8で立ち上がったブレだったが、レフェリーが試合をストップした。
これまで2ラウンド以上戦ったことのなかったビーヴァンにとって、この試合は初の第3ラウンド突入だった。試合はそのラウンドの43秒で幕を閉じた。
ペイン、負傷したグラティイをストップ
メイドストン出身のジュニアミドル級、メイソン・ペイン(5勝0敗、2KO)は、6回戦として組まれた試合の第4ラウンドでオクタビアン・グラティイ(8勝89敗4分、4KO)をストップし、無敗記録を維持した。
グラティイは約4年間勝ち星がなく、モルドバ出身ながら試合で倒されることは滅多にないタフな相手。ペインは最初の3ラウンドを冷静に探りながら隙を伺っていた。
第4ラウンド序盤、グラティイは珍しく踏み込んで左フックを放った直後に左脚を痛めた様子を見せた。レフェリーは一旦試合を続行させたが、ペインが右を数発ヒットさせたところで、脚を引きずるグラティイの様子を見て試合をストップした。
ウッド、無敗をキープ
フランク・ウッド(2勝0敗)は、ペルーのセサル・パレデス(18勝22敗1分、5KO)に対し、危なげない内容で4回戦を判定勝ちした。
スーパーフェザー級のウッドは初回のゴングからリング中央を支配し、サウスポーのジャブで距離を測り続けた。ときおり左ストレートを織り交ぜたものの、パレデスに大きなダメージを与えるには至らなかった。判定は40-36でウッドの勝利だった。
ザフマトケシュ、初回ストップ勝ちを収める
オープニングバウトでは、イマン・ザフマトケシュ(5勝0敗、4KO)がヘビー級でライアン・ラボーン(0勝33敗2分)を初回ノックアウトで下した。
サセックスを拠点とするイラン出身のザフマトケシュは、今年初めに4ラウンド判定でラボーンを破っていたが、今回は短時間で決着をつけた。通常はクルーザー級で戦うザフマトケシュは、ショートの右アッパー一発で勝負を決めた。