オスカー・コラソは、
フライ級女王ガブリエラ・フンドラが1時間前に見せたのと同じく7回TKOで勝利し、リング誌王座と統一王座のダブル防衛を果たした。しかし、その勝ち方は決して安心して見ていられるものではなく、挑戦者ジェイソン・ベイソンの健闘で緊張感に満ちた内容となった。
一方で7回、劣勢に立たされた27歳のベイソンを巡り、セコンドと通訳が試合を止めようとしたことで、フィリピン陣営のコーナーには即座に混乱と怒りが広がった。
ベイソン(14勝2敗1分、8KO)はロープ際に詰められ、ボディを集中的に打たれていたが、それまでのラウンドでは十分に互角の戦いを見せ、コラソに的確なカウンターを当て続けて苦しめていた。
1回に議論を呼ぶダウンを奪った時点では、コラソ(13勝無敗、10KO)にとって「また順当な防衛戦」と思わせる展開になるかに見えたが、実際は全く違った。
コラソは序盤、カウンターの右フックで挑戦者を捕らえたが、リプレイでは前腕部が当たっており、本来ならダウンと認められるべきではない場面だった。
それでもベイソンは第4ラウンドの激しい攻防でボディ攻撃を効かせ、ワンツーのコンビネーションも効果的に決まり、コラソは真っ向勝負を避けざるを得なかった。
その後6分間、王者はペースを上げ、CompuBoxの数字では48-27で手数でも上回り、コーナー陣営も「これで3試合連続のストップ勝ちになる」と確信を持っていた。
しかしベイソンも最後まで強打をヒットさせており、試合内容はジャッジの採点(DAZN中継によると6回終了時点で59-54)よりも競っている印象を与えた。唐突な終了劇は単なる“意思疎通のミス”だったのか? 外国語が飛び交う混乱のせいだったのか? コラソ本人はそう考えていなかった。
「いいストップだったと思う。自分は狙いすましたショットを打ち込んでいたし…でも彼は本当に驚かせてきた。いいボディショットをもらった。立派な戦士だったし、素晴らしい試合だった。1回からプレッシャーをかけてくるのは分かっていたから、様子を見て3回から圧力をかけ始めた。右をもらっていたからカウンターを狙った。最後の3ラウンドでやれていたし、仕留められると思っていた。」
さらにコラソは続けてこう宣言した。
「2026年には新しいプエルトリコの4団体統一王者が誕生する。もし統一戦ができないなら、112ポンドで
新たに統一王者となったリカルド・ラファエル・サンドバルとの対戦もやるつもりだ。」そうすることでコラソは、同胞でWBO世界L・フライ級王者のレネ・サンティアゴ(14勝4敗、9KO)との108ポンド戦を回避することになる。この一戦はプロモーターであるゴールデンボーイ社のオスカー・デ・ラ・ホーヤが興味を示しているカードでもある。
一方、ベイソンは不可解な幕切れのあとでも礼儀正しく振る舞った。左目下にカットを負いながらクリス・マンニックスに対し、「彼ら(セコンド陣営)は自分が危険な状態だと思ったんだろう。その判断を尊重する……ボディブローは効いていたが、対応できると思っていた」と語った。統一王座挑戦という大舞台が、自らの力ではどうにもできない要因に左右された今、ベイソンには厳しい決断が待ち受けている。
アンダーカード全試合結果
S・ライト級:ルスラン・アブドゥラエフ 判定勝(8回、79-73×2、80-72)ケビン・ジョンソン
S・ウェルター級:グラント・フローレス 判定勝(8回、79-72、80-71×2)コートニー・ペニントン
S・バンタム級:ガエル・カブレラ 1回KO ジュディ・フローレス
女子フライ級:アドリアナ・ピネイロ 判定勝(8回、79-73×2、80-72)グロリア・ムンギージャ
ウェルター級:ジョエル・イリアルテ 3回KO エドゥアルド・エルナンデス・トレホ
S・ミドル級:ハビド・ラミレス・ベルトラン 判定勝(6回、60-54×3)ブライアン・アグスティン・アレグイ