ローレンス・オコリーは、2週間前にマンチェスターで開催されたクイーンズベリーとDAZNの初共同興行で、長年のクルーザー級ライバルであるリチャード・リアクポーレとヘビー級で対戦する予定だったが、非公開のトレーニング中のケガにより、32歳の復帰戦は延期となった。
しかし現在、元2階級世界王者(21勝1敗、16KO)のオコリーは、そのケガから完全に回復。リアクポーレ戦を前に数週間トレーニングができなかった影響も解消され、ジョー・ギャラガーの下で痛みのない状態で再びキャンプを始める準備が整った。
オコリーは週末に『Boxing King Media』のインタビューで、このケガは2月22日にリヤドで開催されたビッグイベント「Last Crescendo」の直前に発生していたことを明かした。当初は十分な休養で回復することを期待していたが、そうはいかなかったという。
「スパーリングの日のひとつで無理をしてしまって、休むように言われて2週間休んだ。でもその後、またスパーしたら再発してしまった。この状態ではとても試合はできなかった。でも今は? いつでもキャンプを始められる準備ができてるよ。」
リアクポーレとの再戦について尋ねられた際、オコリーは明言を避けた。
「わからない。彼は、今のヘビー級での自分の進むべき方向ではないし、自分のキャリアの中心にいる相手でもない。俺は3階級制覇を目指してるから、もっと大きくて価値のある方向を見ているんだ。」
現在、WBCでは1位、WBOでは5位にランクされているローレンス・オコリーだが、昨年12月に元スパーリングパートナーのフセイン・ムハメドを初回でストップしたことでヘビー級に本格参入したばかりの彼は、新階級での
この高ランクを正当化する必要に迫られているようにも見える。
「ランキングは素晴らしいけど、結局は試合をしなきゃ意味がない。カバイエルとの試合を求めて動いたけど、彼が数か月間試合をしないことになってるから、別のルートを探す必要があるんだ。」
オコリーはこの話題について、英メディア talkSPORT のインタビューでさらに詳しく語っている。
「たくさん話し合ったよ……必死にカバイエルとの試合を実現しようとしたけど、彼とチームは9月まで試合をしない意向なんだ。だから自分は前に進むことにした。夏に試合をするつもりだ。いまはヘビー級として食事も調整しているし、水分もしっかり取れてる。だからこそ、自分の最高のパフォーマンスを出せる状態だよ。
彼(カバイエル)は確かに素晴らしい内容でチャン・ツィーレイ、フランク・サンチェス、マクムドフを倒したけど、どちらにせよ俺は3階級制覇を目指してるし、そのためには彼のような相手に勝つ必要がある。」
その一方で、オコリーは次の試合に向けてふさわしい対戦相手を探しており、リアクポーレ戦を再検討するよりも、イギリス人同士のビッグマッチを望んでいる。
彼の話では、ジョセフ・パーカー、ジョー・ジョイス、ディリアン・ホワイトに対戦を打診したが、いずれも断られたという。ジョイスとホワイトはもともとマンチェスター興行のメインイベントで対戦予定だったが、ホワイトの手の負傷により、元IBF暫定王者フィリップ・フルゴビッチが急遽代役として出場することになった。
ジョセフ・パーカー(36勝3敗、24KO)について、WBO暫定王者という立場から再びフルタイトルのチャンスを待ちたい気持ちは理解できると、オコリーは語る。ドバイを拠点にしており、すでに次戦に向けた準備も始めていたパーカーは、7週間前に行われた試合で、マルティン・バコレ(21勝2敗、16KO)ではなくオコリーと対戦していた可能性もあった。
「こっちはもう話がまとまったと思ってた。帰宅して荷造りをしてサウジに向かおうとしていたところで、フランク・ウォーレンから電話が来て『パーカーはバコレを選んだ』って言われたんだ。
現地的には(自分の方が)理にかなってた。拠点は1時間圏内だし、うちのコーチもすでにサウジにいた。でも彼らはコンゴ出身のバコレを選んだ。そして結果的に、それが正解だった。パーカー相手にナイスなノックアウトを決めたからね。まあ、自分はじっと待つしかない。チャンスはそのうちやってくる。そしたら両手でしっかり掴むつもりだ。」
だが、同じ国内のディリアン・ホワイトに関しては、まったく別の感触だったという。
「ディリアンはやりたがらないのを分かってる。ジョイス戦の前にもオファーしたけど、『調整試合が必要だ』って断ってきた。表向きには『ローレンスなんか潰す』って強気だけど、裏ではチキンみたいにビビってる。だから真剣に受け止められないんだ。
現実として、これはお互いにとっていい試合だし、彼にとってもランキングを上げるチャンスになる。個人的には彼を倒したいし、引退する前にきっちりケリをつけたい気持ちがある。もし彼がまだ現役ならやるべきだし、そうでないならもう引退すべきだ。本気の試合をやる気がないなら、AJの対戦相手にでもなろうとしてるだけなら、もう終わりにした方がいい。」
オコリーがホワイト戦を望む気持ちは6年前から続いている。当時、クルーザー級英国王者だった彼は、ホワイトとのスパーリング映像(約20秒)を公開し、「自分なら彼を倒せる」とツイートしていた。ホワイトはその時、パーカーとデレク・チゾラに勝利し、オコリーが現在保持するWBCシルバー王座を防衛していた。
今後の目標を聞かれると、オコリーはこう語った。
「カバイエルが夏に試合をしない以上、まずホワイト、次にカバイエル、そして世界王者。いずれ誰も俺から逃げられなくなる。指名挑戦者になるからね。
ホワイトが俺とやらないなら、また格下とやるだけだろう。それじゃ見栄えが悪い。クリスチャン・ハマーとかエベネザー・テッテとかやってきたけど、チゾラはIBFの指名挑戦者になってるし、AJはケガでフューリーとやる予定だ。だから、残された選択肢は俺だけだ――やるしかないだろう?」
オレクサンドル・ウシク(23勝無敗、14KO)が、ダニエル・デュボアとの再戦後に引退するのか、それとも敗れるのかは不確かだが、ローレンス・オコリーは
多くの人々と同様に、いずれにせよヘビー級王座は分裂すると考えている。そして彼自身、1年後にはスピードに劣る2階級制覇王者との対戦であれば、自分に勝機があると感じている。
「その頃には、彼(ウシク)はもっと足が遅くなっているだろうし、彼がこれまで多くの大型選手を倒してきたとはいえ、俺の運動能力があれば、単に鈍重なヘビー級相手よりも、もっと競り合える試合になると思ってる。」
ヘビー級デビュー戦で260ポンド(約118kg)まで増量した際には、SNSで批判や嘲笑の的になったオコリーだが、今後最高のパフォーマンスを発揮するためには、より絞った体重が必要だと自覚している。
「今は115キロ(約253.5ポンド)前後を維持している。体重が増えて頑丈には感じるけど、今は爆発力やスピードの強化に取り組んでる。カバイエルやホワイトのような相手と戦うには、激しい展開を乗り越えて、最近のようなビッグノックアウトを決めるには、それに耐えうる体に仕上げる必要があるんだ。」