数年後、ファンたちはこう語り合っているかもしれない。「もし、あの試合が実現していたら?」
井上尚弥と
ジェシー・“バム”・ロドリゲスは、長年にわたり似たような階級を行き来してきた。どちらもパウンド・フォー・パウンドのスターであり、実力派の世界王者と広く認められている。両者の対戦はボクシングファンにとって垂涎のカードだが、現在は2階級の差がある。
井上尚弥(32)は、
ロモン・カルデナスとの激闘で8回TKO勝ちを収め、スーパーバンタム級4団体統一王座の防衛に成功したばかり。一方、ジェシー・“バム”・ロドリゲスは、数カ月後にプメレレ・カフとのスーパーフライ級王座統一戦で復帰を予定している。
数字上では両者の体重差はわずか7ポンドにすぎないが、井上尚弥はその数字にこだわっていない。実際に目で見た印象では、フィジカルの差はほとんどなく、ほぼ同じ土俵に立っていると確信している。
「ロドリゲスはいいファイターだと思う」と井上尚弥は『リング・マガジン』に語った。「自分はスーパーバンタム級で少し無理をしている部分もあるが、彼と体格的に大きな差はないと思っている。だから、対戦はまったく不可能ではない。すべてはタイミング次第。ただ、ロドリゲスの階級アップを待っているわけではない」
井上尚弥の長所に「忍耐力」を挙げる人は少ないかもしれない。ただし、それはリング上での戦いぶりを除けばの話だ。カルデナス戦では、試合を通して終始プレッシャーをかけ続ける存在感を見せた。そしてその勝利を経て、彼の今後のキャリアの大枠はすでに見えつつある。
9月にはムロジョン・アフマダリエフとの対戦が控えており、その先にはニック・ボールや中谷潤人がターゲットとなる。
これらの名前や今後の対戦カードは魅力的だが、ファンや識者の間では「ロドリゲスはこの構図にどう絡んでくるのか」との声も上がっている。現時点では、彼はまだ2階級下にいるため、その輪の中には入っていない。しかし、もし彼が井上の階級に上がってくるなら、日本のスターは即座の対戦にも前向きな姿勢を見せるだろう。
「間違いなく、彼は候補の一人になると思う」