しかし32歳となる井上は、
DAZN PPVで配信される「
The Ring V:Night of the Samurai」のメインイベントとして、サウジアラビアで
デビッド・ピカソと対戦する今週土曜の試合を前に、年齢という厄介な問題が自分に追いつきつつある可能性を示唆する。
井上(31勝0敗、27KO)は、いまなお全盛期の力を発揮する。ジュニアフェザー級の4団体統一王者であり、常にパウンド・フォー・パウンド上位に名を連ねる存在である。
だが「モンスター」は、自身が時の流れの前では無敵ではないことも理解する。ピカソを退けた先に、5月に同じ
日本人の怪物・中谷潤人との対戦が控える可能性がある中で、世代交代の兆しもまた、静かに迫る。「絶対に負けるわけにはいかない」と井上は、DAZNの「On The Ground」シリーズで語る。
「自分のモチベーションは、この階級で自分が置かれている立場から来る。満足できる結果はすでに残してきた。しかし32歳となり、さまざまなことがよりはっきりと見え始める。引退というテーマ、つまりいつか引退するという事実が、この段階で現実味を帯びてくる。
中谷潤人と同じ興行に組まれることで、ファンは来年に向けて大きな期待を膨らませる。だからこそ、自分がまだ第一線にいることを示す必要がある。お互いが勝つことが最優先だ。」
中谷(31勝0敗、24KO)は3階級制覇王者であり、セミファイナルでセバスチャン・ヘルナンデスを
相手に122ポンド級デビュー戦を迎える。27歳の中谷は、井上の王座継承者と見なされる存在である。
井上は108ポンドでキャリアをスタートさせて以降、4階級で王座を獲得し、122ポンドでは2年以上戦い続ける。同階級では7戦全勝で、4団体統一王座を5度防衛し、直近では9月にムロジョン・アフマダリエフを下す。
アフマダリエフ戦の勝利は、13年に及ぶ輝かしいキャリアの中で、試合終了のゴングを聞いたのがわずか4度目となる一戦であった。その前には、4試合のスパンで2度のダウンを喫する場面もあった。こうした衝撃的な展開が、上の階級で戦い続ける中で、井上の顎や耐久力に疑問を投げかける議論を呼び起こす。
危険な挑戦が続く中で議論が過熱する一方、父でありトレーナーでもある真吾も、ピカソ(32勝0敗1分、17KO)戦に向けた準備を進める中で、「引退」を示す“rワード”について語る機会が増えつつある。
「年齢を考えると、残された時間はそれほど多くないと思う」と真吾は語る。「あと何試合できるかは分からないが、残された試合を悔いなく、本気と覚悟を持って戦うことができればいい。そうすれば、結果はおのずとついてくると信じる」
井上は2021年から24年にかけて毎年2試合ずつリングに上がる中、今年はすでに4試合目を迎える。しかし井上は、2026年はおそらく年2試合にとどまると明かし、長らく議論されてきた126ポンド級への転級についても、背後に中谷という危険な存在が控える今となっては優先事項ではなくなる。
「フェザー級に関して言えば、まだ体重が十分ではなく、フィジカル面でも不安が残る部分がある」と井上は語る。「不安と期待、その両方の感情があるからこそ、そうした部分にも挑戦したいと思う。
トップレベルのパフォーマンスを発揮している限り、そこには自分の誇りがある。その満足感、その感覚が薄れてきた時こそ、ファイターとして弱くなり始める時だと思う。
自分への挑戦をやめた瞬間に、すべては終わる」
Manouk Akopyanは『ザ・リング』の主任ライターであり、Xおよびインスタグラムでは@ManoukAkopyanで発信する。