中谷潤人は、12月27日に同郷の興行のアンダーカードで試合を行った後、
井上尚弥を間近で見ることを望む。
その夜、井上と中谷がともにスーパーバンタム級の試合に勝利すれば、両者は5月に東京ドームで、日本ボクシング史上最大級となる日本人対決を行うと見られる。サウジアラビア・リヤドのモハメド・アブド・アリーナで、リングサイドから井上のパフォーマンスを見守ることは、実際に対戦するまで中谷が井上と同じリングに最も近づく瞬間となる。
というのも、中谷の長年のトレーナーでロサンゼルスを拠点とするルディ・エルナンデスが、将来的に必ず対戦すると確信していたため、元『ザ・リング』/IBF/WBCバンタム級王者である中谷に、井上とのスパーリングを避けるよう指示していたからである。中谷は、井上の弟で新WBCバンタム級王者の井上拓真とはスパーリング経験があるが、スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥とは、短い会話を交わした程度にとどまる。
「ルディから彼とはスパーリングをするなと言われていた」と中谷は『ザ・リング』のマイク・コッピンジャーに語る。「お互いに意識していた」。
中谷(31勝無敗、24KO)は、バンタム級の118ポンドから122ポンドへ階級を上げ、「
ザ・リングV:ナイト・オブ・ザ・サムライ」興行のコーメインイベントで、メキシコのセバスチャン・エルナンデス(20勝無敗、18KO)と12回戦で対戦する。井上(31勝無敗、27KO)は、DAZNのペイ・パー・ビュー興行(米国39.99ドル、英国19.99ポンド)のメインイベントで、同じくメキシコのアラン・ピカソ(32勝無敗1分、17KO)を相手に、リング、IBF、WBA、WBC、WBOの各王座を12回戦で防衛する。
27歳の中谷は、全試合に少なくとも1人の日本人ボクサーが出場するこの興行が、極めて重要な意味を持つことを認める。
「誰もが見たい試合だということは分かっている」と、中谷は井上との対戦について語る。「それが自分のモチベーションになっている」。
4階級制覇王者の井上は、『ザ・リング』のパウンド・フォー・パウンド・ランキングで3位につける。一方、3階級で世界王座を獲得している中谷は7位で、その差は4つである。セバスチャン・エルナンデスは両者ほどの実績はないものの、無敗ながら未知数の相手であり、日本だけでなく世界中のファンを魅了してきたビッグマッチを台無しにしかねない存在だと中谷は理解している。
「まず片付けなければならない仕事がある」と中谷は語る。「この試合に勝たなければならないが、5月の試合に向けて、より期待感を高めるようなパフォーマンスを見せることも自分の目標の一つだ」。
Keith Idecは『ザ・リング』のシニアライター兼コラムニストである。Xでは@idecboxingで連絡を取ることができる。