リアム・パロのウェルター級デビュー戦は決して楽なものではなかったが、12ラウンドの激闘を終え、
ダビド・パポに判定3-0で勝利し、最終ゴングとともに安堵の息をついた。IBF世界タイトル挑戦者決定戦でのことである。
元IBFスーパーライト級王者である29歳のパロは、
6月にジョナサン・ナバーロを相手に余裕のある勝利を収めたが、今回は1万マイルも離れた地で無敗の強豪と戦うことの厳しさを覚悟していた。
「これが世界レベルだ……少しでも油断すればこうなる。相手はしたたかで、無敗なのには理由がある。KOが少ないとはいえ、しっかりパンチ力もある。世界レベルでは誰もが戦える。次へ進むだけだ」と、クイーンズランド州パット・ラフター・アリーナでの過酷な一夜を終え、パロは『Main Event』のベン・デイモンに語った。
序盤は慎重な立ち上がりでラウンドを重ねたパロだが、試合が進むにつれてパポの攻撃は激しさを増していった。
それが顕著に現れたのが第4ラウンド終盤である。元王者のパロは連続のワンツーを浴び、立て続けにグラついた。パポは左で次々とヒットさせ、パロの右目は瞬く間に腫れ上がり、動揺する姿が見られた。解説を務めた世界レベルのコンテンダー、
マイケル・ゼラファは「ゴングに救われた」と評したほどである。
嫌な展開はその後も続き、第5ラウンドではパポが手数で上回り、プレッシャーをかけ、フィジカルを駆使してパロを消耗させた。パロの攻撃選択に疑問符が付く状況であった。
左だけを狙うのではなく、攻撃をよりうまく織り交ぜられるのか。奇妙な展開となった第8ラウンドは、パポが持続的に手数を出すよりもいわゆるマチスモの誇示に傾いたため、パロがジャブで再び主導権を握る好機となった。
パポは後退し、ここ数ラウンドでうまくやっていたように同じサウスポーの相手を警戒させ続けるのではなく、パロのパンチは効いていないと身振りで示し続けた。
この展開とセカンドウィンドに後押しされ、パロはコンビネーションによるより質の高い攻撃で流れを変え、念のためボディにも打ち込んだ。
最終ラウンドの一つ手前、第11ラウンドは接戦となった。パポはようやく、この試合がまだ決着していないことを理解し、残り6分を前に再びパロをぐらつかせ、緊迫の場面が再び訪れた。両者は至近距離で激しく打ち合い、乱打戦の中でどちらも大振りのパンチを振るう中、主審の中村克彦はパポが倒れた場面をダウンではなくスリップと判定した。
パロはラウンドの終盤にかけて優勢に立ち、その勢いを第12ラウンドでも緩めることはなかった。勝負の行方がまだ不透明であることを理解していたからである。片目が腫れ上がった状態のパロは、頭部とボディにいくつもの連打を叩き込み、ラストミニッツでのKO勝利を予感させる攻勢で観客の興奮を呼び起こしたが、パポは最後までその誘いに乗ることはなかった。
アンダーカード結果
スーパーフェザー級:リアム・ウィルソン TKO4 ホルヘ・サンタナ
スーパーウェルター級:ジェイコブ・ン TKO1 内藤律樹
スーパーウェルター級:ダリンガラ・トルウェラ TKO5 ラクラン・オシェア
ヘビー級:フロイド・マッソン 判定3-0(60-54×3) ヨハン・リンデ
スーパーミドル級:ケン・エイケン 判定2-1(48-47, 47-48, 49-46) ソニー・ナイト
スーパーウェルター級:ダニー・キーティング KO1 サチン・ナウティヤル
ウェルター級:マシュー・ホスキング 判定3-0(40-35, 39-36, 40-35) ランス・マクドナルド