ルイス・クロッカーは、自身の実力を証明するこの機会を6か月間待ち続けてきた。
3月、彼と
パディ・ドノバンは注目の全アイルランド・ウェルター級対決で拳を交えた。多くの人々が、激しく拮抗したエキサイティングな試合を予想していたが、誰もが予想しなかった展開が待ち受けていた。
劇的な試合となった第8ラウンド、顔を腫らしダメージを負ったクロッカーは、膝をついてしゃがみ込んだ。
彼がキャンバスから立ち上がり、主審マーカス・マクドネルの8カウントを聞いたとき、再戦の可能性など遥か遠くに感じられたことだろう。
だが、そのわずか1分も経たないうちに、再戦は誰もが口にする話題となった。
ベルファストのSSEアリーナに混乱が広がる中、ドノバンは試合を終わらせようと踏み込んだ。ラウンド終了のゴングが鳴った直後、彼は右ストレートを放ち、それがクロッカーを再びキャンバスへ沈めた。すでに頭突きによる減点を2度与えていた
マクドネル主審は、これ以上の猶予はないと判断し、ドノバンを失格とした。
あと一撃で敗れていたクロッカーが、逆転で勝者と宣告された。
そして今週末、
クロッカー(21勝0敗、11KO)とドノバン(14勝1敗、11KO)が再び対峙する。今回はさらに大きな意味を持つ試合となる。空位のIBF世界ウェルター級王座を懸けて、ベルファストのウィンザー・パークには大観衆が詰めかける見込みだ。この12回戦は
DAZNにて世界配信される。
木曜日の最終記者会見で、落ち着いた様子のクロッカーは語った。
「前回の結果を受けて、今回はまさに運命が自分に味方していると感じている。」
「世界タイトルを懸けて、ベルファストに2万人近い観衆が集まる。誰がこんな光景を夢見ただろうか? 土曜日が待ちきれない。この舞台を実現してくれた舞台裏のすべての関係者に感謝したい。これは少年時代からの夢だ。」
初戦前には、どちらが勝つか意見が分かれていた。
素早い動きを持つリムリック出身のドノバンを引き込んで打ち合いに持ち込めると信じるクロッカー支持者がいる一方で、ドノバン支持者は、彼があまりに速く、頭も切れるため、そんな戦いに付き合うことはないと主張していた。
だが、ドノバンのチーム以外で、最終的な展開を予想していた者はいなかった。クロッカーのパンチを受けたうえで、ドノバンは中央で正面から打ち合うことを選び、クロッカーの土俵で彼を上回ったのだ。
クロッカーのトレーナー、ビリー・ネルソンは、この難題に対する解決策を見出すべき存在である。彼は、クロッカーが初戦では本来の実力を出せなかったと断言し、今度こそ全力を発揮できる状態にあると語っている。
「グラスゴーとドバイで素晴らしいキャンプをこなしてきた。彼は自信に満ちているし、土曜の夜に向けて準備は万全だ」とネルソンは述べた。
「どうか神よ、前回と違って今回は彼が100%の状態であるように。
初戦では自信満々だったが、結果はうまくいかなかった。しかし今回は前回以上に自信がある。」
初戦は劇的かつ波乱に満ちたものではあったが、実質的にはドノバンが圧倒していた。もしあの運命の右ストレートがゴング後でなく、次ラウンドでクリーンに試合を終えていれば、両者はそれぞれの道を歩んでいた可能性もある。
だが、物議を醸した結末は、この再戦を歴史的な一戦へと押し上げた。
ジャロン・エニスがIBFおよびWBAのウェルター級王座を返上し、154ポンド級へと栄光を追って転級したことで、今回の試合はアイルランド人同士による史上初の世界タイトルマッチとなる。
公式にはクロッカーが初戦を制しているが、28歳の彼は、土曜の夜に決定的な勝利を収めるには全ての面で進化している必要があると自覚している。
「前回の試合は、結果が出る前から大きな意味を持っていた。今回はさらに大舞台であり、ボクシングを始めた理由そのものだ。懐疑的な声をすべて黙らせるのが待ちきれない」と彼は語った。
「前回よりはるかに優れた自分を、今回は必ず見せる。間違いなくそうなる。
自分はパディ・ドノバンをKOする。それを疑っていない。」