ルイス・クロッカーは、迫るIBF世界ウェルター級タイトル戦での
パディ・ドノバンとの再戦において、運が一切絡むことのない決着をつけると心に決めている。
3月、ベルファストのSSEアリーナは熱狂的な観衆で埋め尽くされ、両者のライバル関係の幕開けとなる初戦が行われた。
ドノバンは頭を使ったとして減点2を科されながらもクロッカーを倒し、8ラウンド終了のゴングが鳴るまで総合的かつスター性を感じさせる勝利目前だった。ところが、その1秒後、26歳のサウスポーは再び右を振り抜き、クロッカーを倒した。
レフェリーのマーカス・マクドネルは
ドノバンを失格とし、顔を腫らしたクロッカーが勝者と宣告された。
周囲が騒然とする中、コーナーへ戻るクロッカーの胸中には、混乱、初めてプロで打ち負かされ深く傷つけられたことへの失望や屈辱など、様々な感情が渦巻いていただろう。
しかし最も大きかったのは幸運だったという感情である。ゴング後に放たれた右フックはクロッカーに失格勝利を与えただけでなく、28歳の彼に思いがけない雪辱のチャンスをもたらした。
9月13日、クロッカー(21勝無敗、11KO)とドノバン(14勝1敗、11KO)は再び拳を交える。初戦の物議により、再戦にはより大きな会場が必要となり、
約2万人の観客がベルファストのウィンザー・パークを埋め尽くす見込みだ。
今回は賭けられるものも大きい。勝者は空位のIBF世界ウェルター級王座を手にする。
DAZNが世界中に配信する。
マッチルームの『Cards on the Table』に出演した際、クロッカーは公式発表を聞いたときに幸運だと感じたことを認めた。
「そうだ。あの時、俺の目は塞がっていた。お前に倒されて、ピンチだった」と彼はドノバンに語った。
「だから何が起きたのか知ったとき、正直に言う、運が良かったと感じた。試合に負けていたからだ。だからこそ、この再戦を望むことが俺にとって重要だった。あの終わり方は俺の側からすれば正しい形ではなかったから、きっちりケリをつける必要があったんだ。」
初戦は、実績こそ未知数ながらも魅力的な才能を備えた二人による、まさに純粋なスタイルの真っ向勝負と見られていた。クロッカーの型破りだが効果的な、重く鈍い衝撃を与えるパンチが最終的にドノバンを削り取ると考える者がいる一方で、リメリック出身のドノバンの華やかさと生まれ持った技術が、クロッカーには到底解けない複雑な難題となると確信する者もいた。
結果的にドノバンはその技術力を発揮しただけでなく、クロッカーの懐に踏み込み、自分がより優れたボクサーであり、さらに屈強でタフな男であることを証明しようとした。
クロッカーは今回、世論調査をすれば大多数がドノバン支持になることを認めている。
「おそらく9割の人間はこの試合で俺に勝ち目はないと思っているだろう。前回は世間的には五分五分の試合と見られていたが、今回は違う。だから俺は完全なアンダードッグだ。」