ボクシングに心を奪われているジェームズ「ジャザ」ディッキンズにとって、試合の日は毎回クリスマスのように感じられる。
今年、WBA暫定スーパー・フェザー級王者のディッキンズは12月27日にリングに上がる。
ディッキンズは「Ring V」大会で保持するベルトを防衛し、日本の堤駿斗(8勝0敗、5KO)と対戦する。この大会のメインイベントは井上尚弥対アラン・ピカソで、「ナイト・オブ・ザ・サムライ」と題され、サウジアラビア・リヤドからDAZNを通じて世界独占配信される。
ディッキンズ(36勝5敗、15KO)は、
7月に無敗で高評価を受けていたアルベルト・バティルガジエフを支配してストップして以来、スーパーフェザー級のトップ戦線に食い込みたいと望んでいた。
リバプール出身の彼は大きなアンダードッグとしてトルコに乗り込んだが、2020年東京五輪金メダリストのロシア人に対し、
経験と強さ、そして総合力で勝り、一方的な展開から4回TKOで下した。
正規WBA王者
ラモント・ローチが、
ジャーボンテイ・デービスとの再戦を目指してライト級へ移る見込みとなり、ディッキンズの暫定王座は早期に正規王座へと昇格するかに見えた。
しかし、デービスが代わりに
ジェイク・ポールとのビッグマネー・エキシビションを受け入れたことで、その流れは頓挫した。
バティルガジエフに勝利してから3か月が経った今も、ローチは依然としてWBA王者の座にあり、ディッキンズはビッグネームではなく、才能はあるが経験の浅い堤駿斗と対戦することになった。
ディッキンズは
「ザ・リング・マガジン」に「この試合を断った人間の多さには驚くだろう」と語った。
「信じられないだろ?試合を断るなんて、理解できない。自分はこの立場にいるんだから、みんな喜んで挑んでくると思ってたけど、そうじゃなかった。だから今回はこの日本人、堤なんだ。 彼のことは見たことがないけど、いいファイターだって聞いてる。ただ実際に試合を見たことはない。近いうちに映像を見るつもりだけど、基本的には自分に集中するだけだ。チームが正しい仕事をしてくれたと信じてるし、この1年で素晴らしい結果を出してくれたからね」
ディッキンズは130ポンドに階級を上げて以来、絶好調を維持している。無名相手にいくつかストップ勝ちを重ねた後、2025年の初戦では元ヨーロッパ王者ゼルファ・バレットに判定勝ちし、その後バティルガジエフを破る大金星を挙げた。
そして元IBOフェザー級王者の彼は、リヤド・シーズンの舞台で年を締めくくるチャンスを手にした。
ディッキンズは本来ならビッグネームとの対戦を望んでいただろうが、34歳の彼は自らの境遇に不満を漏らすタイプではない。試合に向けてトレーニングできる限り、幸せなのだ。
WBA暫定王座を保持し、Ringの階級ランキングで10位につけているものの、ディッキンズはまたしてもプロスペクトとの対戦が決まったことに不快感を抱くことはなく、堤を決して侮るつもりもない。
彼は「そういう風には考えてない。何も特別に意識してないんだ」と語った。
「相手のことを気にするんじゃなく、自分のことだけを考えてる。これは自分にとって次のステップだけど、単に違う大陸から来た別の挑戦に過ぎないと思ってる。ロシアの五輪王者を倒したし、次は日本人ファイターを倒すつもりだ。そういう風に見てるんだよ。世界中からの挑戦を歓迎するし、誰の挑戦でも受けて立つ」
「とにかく挑戦が好きなんだ。経験は大きな要素になるけど、必ずしも経験だけで決まるわけじゃない。だから自分が最高のコンディションで、自分の一番得意なことをやるのが大事なんだ」