ジャック・カテラルがトッテナム・ホットスパー・スタジアムでエコウ・エッスーマンを11回TKOで沈め、世界タイトル挑戦圏内へ大きく前進した。
これはカテラルにとって約6年ぶりとなるストップ勝利である。
2022年、自身も統一王者の座を奪われたカテラルは、このウェルター級戦で再び世界戦線に名乗りを上げるため、断固として勝利が求められる立場だった。その意地と実力が本戦で存分に表れた。
カテラルは立ち上がりから定番の“下がりながらのボクシング”を展開し、慎重にジャブと左を狙っていく。
一方のエッスーマンはジャブが全く機能せず、3回中盤には待ちすぎた代償として顔面へ硬質なワンツーを被弾。勢いづいたカテラルはラウンド終盤、前へ出てさらにバックハンドで追撃した。
4回、エッスーマンに深刻な事態が訪れる。
鼻梁をカットし血を流す中、左フックを狙ったところにカテラルの右フックがカウンターで炸裂。続けざまに狙い澄ました左ストレートが直撃し、ノッティンガム出身のエッスーマンはキャンバスに大の字で倒れた。
5回もカテラルの猛攻が続き、前へ出続けるエッスーマンは逆にそれが仇となった。カテラルの左が立て続けに突き刺さり、そのたびに血と汗が宙へ飛び散った。
試合の折り返し地点で完全に主導権を握ったカテラルは、ボディジャブで追い打ちをかけ、血まみれのエッスーマンをさらに削っていった。それでも元英国147ポンド王者は気迫だけで前に進み続けた。
7回の開始時点で、エッスーマンの右目は完全に閉じてしまっているように見え、もはや結果をつかむために必要なのは意地と執念だけであった。というのも、カテラルはアメリカへ渡ってトレーニングキャンプを行ったことで取り戻したいと願っていた鋭さを、この試合で余すところなく発揮していたからである。
8回では、カテラルが引き続きリング中央を支配した。左も右も思いのままにヒットさせる一方、視界の半分を失ったエッスーマンは空を切るようなパンチしか出せなかった。
9回に入る頃には、エッスーマンは肉体的に完全に疲弊している様子で、カテラルの鋭く強い左が再び当たると、足元がふらつき、よろめきながら後退した。10回もまたエッスーマンにとって残酷なラウンドとなり、闘志と気力を振り絞りながらも、さらに多くのダメージを受け続けた。
そして11回、ついにエッスーマンは再びキャンバスへ沈み、今回はもう立ち上がれなかった。カテラルの強烈な連打によりロープ外へ落ちかけるほど後退し、レフェリーのリー・エヴリーは即座に試合をストップ。エッスーマンからの異議はなかった。
ここ数試合でカテラルのスタイルには賛否もあったが、ウェルター級での彼は非情さを備えた実力者としての姿を完全に取り戻していた。年初にフィラデルフィアへ拠点を移した効果は明らかであり、より完成度の高いファイターへと進化した試合内容であった。