ボクサーのキャリアには、「果たして本当に評判どおりの実力を備えているのか」が明らかになる局面が訪れることがある。
いま、アブドゥラ・メイソンはまさにその段階に差し掛かっている。
21歳の急上昇スターであるメイソンは、無敗のサム・ノークスと対戦し、空位のWBOライト級王座を懸けて初めての世界タイトル戦に挑む。舞台はサウジアラビア・リヤドのANBアリーナ、開催日は土曜日である。
メイソン対ノークスは「The Ring IV: Night of the Champions」の4つのタイトルマッチの一つであり、
メインイベントはデビッド・ベナビデス対アンソニー・ヤードによるベナビデスのWBCライトヘビー級王座戦である。
同大会では、
ブライアン・ノーマン・ジュニア対デビン・ヘイニーによるノーマンのWBOウェルター級王座戦、そしてジェシー「バム」ロドリゲスとフェルナンド「プーマ」マルティネスによる『The Ring』誌、WBA、WBC、WBOの
スーパーフライ級4団体統一戦も行われる。
メイソン(19勝0敗、17KO)は近年、圧倒的な強さを示しており、直近の試合では2024年6月7日、
ジェレミア・ナカティラを5回ストップで下している。この試合は本来のメインイベントであるキション・デイビス対エドウィン・デ・ロス・サントス戦が、デイビスの計量失敗によりカードごと消滅したため、急遽メイソンが主役として興行を担う形となった。その流れのまま、今回ノークス(17勝0敗、15KO)との空位王座戦が組まれたのである。
直近の試合:2024年6月7日、バージニア州ノーフォークのスコープ・アリーナにて、ジェレミア・ナカティラを5回ストップで撃破。
オッズ:DraftKingsによると、メイソンは -350 の大本命。ノークスは +260 のアンダードッグである。
メイソンはどう勝つのか?メイソンは、年齢を超えた成熟した戦いぶりを見せる、非常にダイナミックなアスリートである。ジャブで距離を管理し、フェイントで攻撃の布石を作り、相手が距離を詰めようとすれば鋭くカウンターを合わせる“生来の能力”を持っている。
メイソンは、ノークスに対してジャブとフェイントを使う必要がある。
ノークスがメイソンを番狂わせするための最大のチャンスは、内側に入り込み、テンポを上げることで、ダイナミックなサウスポーであるメイソンが後半ラウンドで失速することを狙う展開である。ノークスが距離の内側に潜り込もうとする際には、メイソンの頭部とボディへの左アッパーが重要な武器となり得る。また、メイソンがその場に踏みとどまり、プレッシャーファイターであるノークスを押し返すことも有益となるだろう。
さらにメイソンは、ノークスのプレッシャーに呑まれてペースを乱さないことも重要だ。プロ戦績はメイソンのほうが2戦多いものの、ノークスは12回戦に6度もスケジュールされ、うち2度はフルラウンドを戦い切っている。
一方でメイソンは、12回戦へスケジュールされた経験がなく、6回を超えて戦ったこともない。試合が後半に進む場合のスタミナ配分は大きな課題となる。
メイソンが勝ったら何を意味するのか?ノークスを破れば、メイソンは男子ボクシング界で“現役最年少の世界王者”となり、世界最高のファイターへと成長するための大きな第一歩を踏み出すことになる。
19戦を通じて、メイソンはそのスキルセットと相手を仕留める能力によって、「まさに本物」であることを十分に示してきた。また、年齢を重ねるにつれて複数階級を駆け上がることができる体格も備えている。参考として、彼の身長は5階級制覇かつ3度の4団体統一を達成したテレンス・クロフォードと同じとされている。
しかし、ノークスを突破できなければ、これらすべては無意味である。だが、もしメイソンがこれまでの対戦相手と同様にノークスにも圧倒的な勝ち方を見せることができれば、彼のキャリアが上昇するにつれて、将来のパウンド・フォー・パウンドリストの常連となることをさらに確固たるものにするだろう。
選手のコメント:「(みんなは)俺がこれまで手の内を隠していたって気づくはずだ。これまでリングで対戦した相手はみんな、ある決まった形で倒れていった。今回も同じことをこのレベルでノークスに対してやりたい。つまり、そのためにはもっと手数を増やして、もっと強く当てないといけないってことだ。この試合のあと、みんなこう言うだろう──『ああ、こいつは今まで手加減していたんだな。じゃなきゃ、今まで誰にもこんな攻撃してなかったはずだ』って。」
放送情報:「The Ring IV: Night of the Champions」は 11月22日(土) に開催され、
DAZN PPV にて 東部時間午後3時/英国時間午後8時 からライブ配信される。