ファイターを突き動かす燃料のひとつは、“リスペクトされていない”という感覚だ。
4連勝を飾り、その間にIBFのセカンダリー・ヘビー級タイトルも手にしているにもかかわらず、
ブランドン・ムーアは主要4団体すべてのランキング上位15人から外され続けている。この冷遇こそが、フロリダ州レイクランド出身のヘビー級を駆り立てる最大のモチベーションとなっている。ムーアは
今週金曜、デトロイトのフォックス・シアターで開催されるサリタ・プロモーションズ興行のメインを張り、無敗のディアンドレ・サベージと
DAZNで激突する。
「間違いなくそうだ」とムーアは
『リング』に語り、サベージ戦への意気込みを明かした。「プレッシャーを感じるか? いや、俺が感じているのは自分自身へのプレッシャーだけだ。スカイラー・レイシーやスタンリー・ライトに起きたことは、
ディアンドレ・サベージにも起きる。さらにその先に待っているヤツにも同じことが起きる――それを見せなきゃいけないんだ」
「連中がまだ俺のことを信じてるかどうかは分からない。だがこの試合で必ず分からせてやる。俺はビッグファイトをやるべき男だってことをな。
モーゼス・イタウマとやって、あいつに本当にアゴがあるのか試すべきだ。俺がぶっ飛ばしてやる」
ムーア(18勝1敗、10KO)は直近、6月6日にニューヨーク州
ヴェローナのターニング・ストーン・リゾート&カジノで行われたスタンリー・ライト戦に臨み、偶然のバッティングで右目上に深いカットを負い、ドクターストップとなった末に技術判定で勝利している。
身長6フィート6インチ(約198センチ)のムーアは、試合序盤から強烈な右ストレートでライト(14勝1敗、11KO)を2ラウンド終了間際にダウンさせ、あと一歩で鮮烈なKOを飾るところだった。立ち上がったライトは足元がふらついていたが、ゴングに救われた。最終的にムーアは50-44が2者、49-45が1者で判定勝ちを収めた。
31歳のムーアはライト戦でキャリア最高の256.8ポンドを計測したが、次戦では減量して挑む構えだ。一方、フリント(ミシガン)出身のサベージ(10勝無敗、10KO)は前戦でキャリア最低の265ポンド。これまで3ラウンドを超えた経験がなく、戦績10勝のうち8勝は負け越し相手に挙げたもの。ムーア戦はキャリア最大の試練となる。
「スタンリー相手だと体重差が影響すると思ったから、ちょっと体重を増やした」とムーアは言う。「あいつは(279)ポンドだったから、少し重くした。だから今回は数ポンド落として、コンディショニングはバッチリだ。そこを本当に取り組んできたし、ジャブはこの試合で世界クラスのものを見せると思う」
ムーアとサベージはオリンピックトライアルのときに顔を合わせたが、階級が違った。今は再び道が交わり、勝者にとっては混雑したヘビー級で頭角を現す出発点になり得る。
「2ラウンドで片付けたい。強いパンチを当てて、さっさと終わらせて簡単に金を稼ぐ。でも何より、みんなは『こいつのボクシングはすごく良くなった。彼は素晴らしいボクサーだ』と言うはずだ。次の試合ではすごくシャープに見える」
「ジャブはすごくなる。右も打ち込む。自分に強い右があるのは分かっている。今回のキャンプでジャブに本当に取り組んできたから、美しいパフォーマンスになる。ジムでの全ての努力が出るはずだ。正直言って、そこまでやったからディアンドレがほとんど嫌いになりかけている」