ハーレム・ユーバンクは、トッテナム・ホットスパースタジアムへ向かう車の中で、叔父のクリス・ユーバンク・シニアと従兄のクリス・ユーバンク・ジュニアが再会する、今年最も話題を呼んだボクシングシーンの一つを目撃した。
その映像がスタジアム内の大型スクリーンで流されると、観客席には感動の波が広がったが、車内のユーバンクの心には闘志が灯った。
「今まで観た中でも、最も心を打たれたライブ映像の一つだった」とユーバンクは
『ザ・リング・マガジン』に語った。「あの瞬間を見てすぐ父親に電話したという人が何人もいた。それほど世界中で感情を揺さぶった場面だった。
ジュニアの控室へ向かう車中だったんだ。『えっ、何が起きてるんだ?』って驚いた。まったく知らなかったから、興奮で体が震えた。
今度は自分の番だと思った。その名を引き継いで前へ進むのが自分の仕事だ。ユーバンクという名前は再び頂点にある。そして俺たちは世界レベルでその名を刻みに行く。
この舞台より大きなものはない。世界でも最強クラスと評される相手に挑むんだからな。彼が世界王者になっていないなんて信じられないという声もあるくらいだ」
ユーバンク(21勝0敗、9KO)は比較的順調かつ落ち着いた歩みでキャリアを築いてきた。そしてキャリアを通して常にアンダードッグの心構えを好んできたが、現実には対戦相手の陣営を除けば、彼が敗北すると予想された試合はほとんど存在しなかった。
だが今回は事情が異なる。
カテラル(30勝2敗、13KO)は狡猾なサウスポーであり、初めてジョシュ・テイラーと対戦した夜に統一ライト級王者になるべきだったと多くの人が考えている。ジュニアウェルター級で10年以上戦ってきたカテラルは、今回初めてウェルター級へ階級を上げ、このユーバンク戦が新階級でのデビュー戦となる。また、ブライトン出身のユーバンクに対し、地元開催というアドバンテージもある。
アンダードッグと見なされることについて尋ねられると、ユーバンクはこう語った。 「ファイターとして、そういう外的な見方は排除しなければならない。
世間の評価なんて自分にはまったく関係ない。ジャックはただの挑戦相手だし、オッズもブックメーカーの予想も世間の見方も、すべて無意味だ。結局は二人だけで戦う場になれば、状況はすべて変わる。俺にとっては、これはただのまた一つショーを見せる夜にすぎない。
プレッシャーはすべて自分自身に課している。紙の上では、彼は俺がこれまでに戦った中で最強の相手だ。だからこそ、自分に最大限のプレッシャーをかけて、このトレーニングキャンプを過ごしてきた。それが今の俺の心構えだ」
ユーバンクもウェルター級ではまだ2戦しかしておらず、同階級では新参者だが、すでに4大認定団体のうち2つでランキングトップ15に名を連ねている。もしカテラルに勝てば、2018年にクリス・ユーバンク・ジュニアがジョージ・グローブスに敗れて以来、家族として初の世界王座挑戦に大きく近づくこととなる。
「この勝利で、俺は一気に頂点へと駆け上がるだろう」とユーバンクは語る。「勝てば、アメリカのトップ選手たちとも戦える準備が整う。世界タイトルに挑戦できるはずだ。次戦でなかったとしても、世界のトップと見なされる相手と戦う資格が手に入る」
「こういう試合こそが必要なんだ。そしてこれは、アメリカのトップ選手たちに挑むための“チケット”だと俺は考えている」
現在のウェルター級(147ポンド)はアメリカ人ボクサーが支配しており、The Ring誌の王者
ジャロン・ブーツ・エニス(フィラデルフィア出身)がIBFおよびWBA王座を保持。WBC王者はテキサス州の
マリオ・バリオス、WBO王者はジョージア州の
ブライアン・ノーマンである。実際、The Ring誌のウェルター級ランキング上位5人のうち4人がアメリカ人で占められている。
「今、この階級が最も熱いのはアメリカだ」とユーバンクは語る。「俺が戦いたい相手は、みんなそこにいる。
俺にとってジャロン・エニスがナンバーワンだ。多くの人が彼こそ最強だと信じている。そういう試合こそワクワクするし、自分を試したい相手だ。
でも、それはまた別の話だ。今は7月5日に集中している。勝たなければ、その扉は開かれない。だから絶対に勝機を逃さない」
今度はリングの中で、ユーバンク家の名を世界に響かせる“バイラル・モーメント”を作り出す番である。