イプスウィッチ(イングランド)――試合が決まった時点で多くが予想していたような圧倒的な猛攻でも、衝撃的な結末でもなかったが、
ピアース・オレアリーはタフなリアム・ディロンを相手に12ラウンドを通じてアウトボックスし、EBU欧州ジュニアウェルター級王座を手にした。
判定は117-111、116-112、115-113。
オレアリーは序盤から積極的にボディを狙って主導権を握り、接近戦でのディロンの果敢な反撃にも動じることはなかった。ただし、時折リズムに変化をつけられず、セミメインとしてはややギアを上げきれなかった場面も見られた。
この一時間後、北へ約200マイル離れたバーンズリーの
オークウェル・スタジアムでは、カラム・シンプソンが欧州スーパーミドル級王座を獲得しており、それと同様に、140ポンド級が目まぐるしく動く中で、25歳のオレアリーにも階級の頂点を目指すべきとの声が着実に高まっている。
WBCインターナショナル王座の防衛に5度成功しているリバプール拠点のオレアリー(17勝無敗、9KO)は、同団体のランキングで現在10位に位置しており、ビッグファイトが自身の知名度を押し上げるきっかけになることを一貫して期待してきた。今年初めに計画されていたアイルランドでの凱旋試合は立ち消えとなったが、現在は8月を目処にダブリンの3アリーナでの開催が仮計画として進行中だ。
WBCランキング1位の
ダルトン・スミス(18勝無敗、13KO)と、IBO世界王者
アダム・アジム(13勝無敗、10KO)は、それぞれマッチルームとBOXXERというライバル陣営に所属する無敗の逸材。そしてクイーンズベリー陣営もまた、140ポンド級に多くの有力選手を抱えている。
英国・コモンウェルス王者のジャック・ラファティ(26勝無敗、17KO)は、同じ陣営のマーク・チェンバレン(17勝1敗、12KO)との対戦を希望している一方で、ピアース・オレアリーは自身の道を着実に上り続けている。
ピアース・オレアリーのマネージャーであるジェイミー・コンランは、欧州タイトルを最近手にしたアダム・アジムやダルトン・スミスのいずれとも、次戦での対戦は現実的でないと認識している。それでも彼は、将来的にこの3人がビッグマネーのかかった一戦で拳を交える日が来ることを願っている。
コンランは「Irish-boxing.com」に対し、次のように語った。「この3人は、英国やアイルランドだけでなく世界でもトップクラスのプロスペクトだ。今はそれぞれが別の軌道を進んでいるが、将来的には世界タイトル戦の舞台で顔を揃えることを期待している。」
「今のところスミスが一歩リードしているのは間違いない。彼はWBCで世界タイトル挑戦の順番を待っている立場で、それに値する素晴らしいファイターだ。ただ、ピアースにはアイルランドの“次なるスター候補”としての可能性があると信じている。リング内でも外でも完璧に振る舞える選手だ。あとは必要なのは舞台と適切なマッチメイクだけだ。」
ベン・シャロームは、4月26日に予定されていた
クリス・ユーバンク・ジュニア対コナー・ベンのアンダーカードで、アダム・アジムとピアース・オレアリーを対戦させるというオファーを断ったとされている。また報道によれば、フランク・ウォーレンはオレアリー対ダルトン・スミス戦、そして元世界タイトル挑戦者ジャック・キャタロール(30勝2敗、13KO)との対戦を模索していたが、いずれも実現には至らなかったという。
オレアリーは今回の試合の前から、勝利すれば年末にサウジアラビアでさらにビッグファイトが待っている可能性をほのめかしていた。フランク・ウォーレンは、2階級上げて挑んだアンダードッグのリアム・ディロンの健闘を称えるとともに、ジョー・マクナリーの下で成長を続ける“ビッグバン”ことオレアリーに対しても、その期待をあらためて口にした。
「ピアースは世界タイトル戦までそう遠くない位置にいる。でもリアムにも敬意を表したい」とフランク・ウォーレンは
『ザ・リング・マガジン』に語った。
「リアムは歯を食いしばって粘り強く戦ったが、ピアースの圧力が一枚上だった。ピアースは素晴らしいパフォーマンスを見せたし、次は本格的なビッグファイトになるだろう。それが彼にふさわしい舞台だし、我々もそのために動いてきた。」