4月下旬、ファビオ・ワードリーとそのチームは、負傷により離脱したジャレル・ミラーの代役を探すために、手当たり次第にランキングを精査していた。
6月7日にポートマン・ロードで行われる夢の試合が宙に浮いた状態となったが、日程を変更する余地もなければ、中止という選択肢もなかった。
そして現在、
無敗のハードパンチャー同士、ジャスティス・フニ(12勝0敗7KO)との対戦に合意したワードリーは、単に代役を見つけただけでなく、ミラー戦以上に困難であり、かつ価値の高い試合を実現できたと感じている。ミラーは
肩の負傷により試合を辞退していた。
26歳の
フニは、IBF、WBC、WBOすべてで
ワードリー(18勝0敗1分17KO)より上位にランクインしており、WBA世界ヘビー級暫定王座を賭けてイングランドに赴く機会に飛びついた。ワードリーによれば、この意欲こそが他の候補者との差を決定づけた。
「正直言って、
ミラーのニュースを聞いた時、BoxRec、The Ring、WBA、WBO、WBC──すべてのランキングをチェックしていた」とワードリーは『ザ・リング・マガジン』に語っている。
「ランキングの上位陣を見て、誰が試合予定があるのか、誰が空いているのか、誰が可能性あるのかを見極めていた。それでリストを作って、いろいろな理由で除外していった。
『試合予定がある』『コンディションが整っていない』『準備不足』『本人が望んでいない』『トレーニングをしていない』『最近試合を終えたばかり』『契約上不都合』──理由は100通り以上ある。そうやって多くを除外し、最終的にごく短いリストに絞った。フニもその中にいて、チームとして最終的に彼に決めた。理由は、彼が最も優れた選択肢だと感じたからだ。
彼が最も多くを提示してくれたし、正直、彼の積極性が気に入った。いくつものチームと話をしたが、そのやり取りの中で雰囲気も分かってくる。あるチームは態度が煮え切らなかったが、フニとその陣営は非常に即断即決で、そこは高く評価している。
『契約書を送ってほしい』と言ってきたのには感心した。時間が限られていたから、手続きがスムーズで、ただ出場するだけでなく、本気で勝負に来る相手が必要だった。彼は本気で仕事をしに来る。
ミラー(戦績26勝1敗2分22KO)からフニへの相手変更により、ワードリーは「トレーニング全体の見直し」を余儀なくされた。36歳の“ビッグ・ベイビー”ミラーは、ワードリーにとって過去最難関の試合相手となるはずだったが、ある程度予測可能な相手だと感じていた。しかし、フニについてはそうは言えない。
「総合的に見て、より難しい試合になると思っている」とワードリーは語る。「フニには、はるかに多くの変数がある。
ジャレル・ミラーがどんな選手なのかは分かっていた。彼が繰り出してくるトリックには限りがある。もちろん、彼はとても大きくて強く、効果的な選手だが、攻略法を立てるのは比較的シンプルだ。それが簡単という意味ではないが、計画自体は立てやすい。
でも、ジャスティス・フニは、さまざまな課題を提示してくる。解決すべき問題が複数あるし、試合ごとに異なるスタイルを見せる選手でもある。だから、プランAだけでなく、B、C、場合によってはDまで必要になる。
つまり、スタイル的に見ても、フニのような相手に備えるには、計画、準備、対応すべてにおいて、トレーニング内容を全面的に見直す必要がある。トレーニングやスパーリングはすでにしているが、問題は技術的な面や細部の部分で、それらを正確に調整するのは非常に難しく、複雑だ。」
クイーンズベリー・プロモーションは今月、ワードリーの地元クラブであるイプスウィッチ・タウンの本拠地ポートマン・ロードで記者会見を開催し、新たな試合のプロモーションを開始する予定である。
ワードリーとミラーは初回の記者会見ですでに火花を散らしており、ミラーは自身への「ディストラック(罵倒ラップ)」が流されたと勘違いして怒り心頭となっていた。しかし、それはAIによる生成音声であり、ワードリー本人も聞いたことがないものだった。それでも派手なアメリカ人は、
顔を合わせた際に相手を平手打ちするという暴挙に出た。
今回、フニとの初対面はもっと穏やかなものになるだろうとワードリーは予想している──ただし、イプスウィッチのライバルであるノリッジ・シティのユニフォームは絶対に着てこないよう警告した。
「フニがミラーのように怒鳴り込んでくることはないと思っている」とワードリーは語る。「見た感じでは、彼はかなり礼儀正しく、冷静で控えめな人物のようだ。でも、ひょっとすると何か大きな不満を抱えて来るかもしれない。
ただ、もしまたノリッジのユニフォームを着てくるつもりなら、やめた方がいい。過去に2人がそうして、どちらもいい結果にはならなかった。フレイザー・クラークはノックアウトされたし、ミラーはケガをしてしまった。」
それでは、フニに向けたディストラックはあるのか?ワードリーは笑いながら答えた。
「いま作ってるところだよ。彼についてもう少し情報を集めたい。個人的なネタを仕込むために、いろいろとリサーチしてる。近いうちに出すつもりさ。Lethal Bとのコラボになるかもしれないな。楽しみにしててくれ。」