ファビオ・ワードリーとジャレル・ミラーの間に友情など微塵もないことは、明らかだ。
両者は6月7日、イプスウィッチ・タウンの本拠地ポートマン・ロードでWBA暫定ヘビー級王座を懸けて激突する予定で、この試合はDAZNでライブ配信される。
しかし、両者は、試合を2か月後に控えながらも、月曜にポートマン・ロードで行われた記者会見で早くも火花を散らした。ステージ上での口論の末、“ビッグ・ベイビー”ことミラー(26勝1敗2分、22KO)がワードリー(18勝無敗1分、17KO)の顔を突き飛ばし、警備が間に入って事態を収拾する場面もあった。
ワードリーとミラーは互いに侮辱、非難、そして挑発的な言葉を浴びせ合った。さらには、ミラーがイプスウィッチの東アングリア地方におけるライバルチーム、ノリッジ・シティのカラーをわざわざ身にまとって登場する一幕もあった。
会見は当初、淡々とした雰囲気で始まり、ワードリーは「8週間後、このピッチで誰もが認めざるを得ない存在になる」と自信を見せた。だが、マイクがミラーに渡された途端、会場の空気は一変した。
ミラーはこう語った。
「俺はこいつをぶっ倒すつもりだ。フランク(プロモーター)が優秀な営業マンなのは認めるが、今回は判断を誤った。長年俺が避けられてきたのには理由がある。俺はキラーだ。本物の戦士はどこへでも戦いに行く。俺たちは別の覚悟で戦ってる。最初は敬意を持って接していたが、あいつはくだらないディストラック、“ビッグ・ベイビー・キラー”なんて曲を作ってきた。俺の地元じゃ、それは殺害予告みたいなもんだ。そんなふざけたことを言ってるから痛い目を見る。好きなだけ笑っていろ、ケツでも舐めてろってんだ。」
ワードリーは、ミラーが言及したディストラックについては「まったく身に覚えがない」としている。
ワードリーは「そのディストラックってやつ、彼が言ってるその“曲”のことなんて知らない。なんのことを言ってるのか全然わからないし、夢でも見たんじゃないのかって思ってるよ。」と反論した。
しかしその前に、場の空気は一気にヒートアップしていた。
「“ビッグ・ベイビー”って呼ばれてるのには理由がある。ググってみろよ、俺は相手を泣かせるんだ」と挑発。これに対してワードリーは「“ビッグ・ベイビー”って呼ばれてるのは、黙らないからだろ。口におしゃぶりでも突っ込んでろよ」と言い返した。
ミラーは、「だったら黙らせてみろよ」と応戦した。
その数秒後、ワードリーとミラーは同時に立ち上がり、一触即発のにらみ合いに。二人合わせて500ポンド(約227キロ)を超える巨体を必死に引き離そうと警備員が割って入り、フランク・ウォーレン・プロモーターは場を落ち着かせようと呼びかけた。
ミラーはワードリーの顔の前で身振り手振りを交えながら挑発を続け、問題のディストラックについて繰り返し言及した。そして最後には、指先でワードリーの顔をかすめるような仕草を見せた。
その後、ウォーレンによるステージ上での謝罪を挟んで記者会見が再開されたが、ミラーは再び口撃を始めた。
「アイツはそういうタイプじゃねぇよ、ブロンクスじゃなくてイプスウィッチ出身だろ。」と言った。「俺は何も謝らねぇ。俺のことをディストラックでディスったり、偉そうに要求したりなんてさせねぇよ。ふざけんなよ、お前は俺がぶっ倒す。」
「何を期待してるんだ?ファイターなんていつも侮辱されてる。なのにここに来て、仲良くやりましょうって?表に出てない無礼なんて山ほどあるんだよ。俺の逆鱗に触れたら、容赦しない。今まさに、やつらは俺の怒りを買ってるんだ。」
最後に口を開いたのはワードリーだった。ミラーを圧倒することを約束し、こう語った。「ここで一番ヤバい奴は誰だ?って考えて、そいつを選んだ。それがミラーだったんだ。」
「自分は避けられてるって言ってるけど、デュボアとの試合を急なオファーで受けたのは認めるよ。立派な試合をしたと思う。でも今回は、俺が君を選んだ。フルキャンプ、万全の準備期間も用意した。言い訳は通用しない。チャンスがもらえないって言ってるけど、ここにあるだろ。それに今回はWBA暫定王座もかかってる。試合当日はちゃんとリングに上がって、盛り上げてくれ。ファンのために最高の試合をやろうじゃないか。」
「お前はワンパターンのファイターで、その技もクソみたいなもんだ。もう見飽きたよ。俺が終わらせてやる。」
ワードリーは昨年10月、フレイザー・クラークを初回KOで下して以来のリング復帰となる。一方のミラーは、その2か月前の8月が最後の試合だった。
アメリカのミラーは、ロサンゼルスで行われたテレンス・クロフォード対イスラエル・マドリモフ戦のアンダーカードでアンディ・ルイス・ジュニアと対戦し、物議を醸す引き分けに終わったが、多くの関係者はミラーの勝利だったと見ている。