ロンドン──現在のボクシング界で最も巧みな“セールスマン”と言われるエディ・ハーンは、突飛な主張を売り物にする人物である。
そして日曜日未明、トッテナム・ホットスパースタジアムの記者会見場で、ハーンは
コナー・ベンについて、間違いなく賛否を呼ぶ発言をした。
クリス・ユーバンク・ジュニアとの12ラウンドのワンサイドゲームを終え、センターピッチで勝ち名乗りを受けてからおよそ1時間後。ベンは記者席最上段に座り、自身の今後について語った。彼は今後こそウェルター級で戦うべきだと強調した。ハーンはその左隣から29歳のベンを指さし、彼こそが現在ウェルター級の主役であると主張したのである。
「ヘイニー、ノーマン、ローリー・ロメロ、我々が契約しているルイス・クロッカーを含め、皆に敬意を表するが──」とハーンは言い、「コナーこそ、147ポンド級のスターである」と語った。
ベンはこの3年半、ウェルター級リミットを一度も作っておらず、同級でのタイトルも保持していない。
フロイド・メイウェザー、
テレンス・クロフォード、
マニー・パッキャオ、ファン・マヌエル・マルケスといった歴代の名王者たちがいた時代と比べれば、現在がウェルター級の黄金時代とは言い難い。しかし、現王者たちは、ハーンの主張を受けてもなお、自分たちのほうがスター性は上だと主張するだろう。
そのノーマンはもちろん、
土曜日夜にサウジアラビア・リヤドで
デビン・ヘイニーと対戦する。勝者は間違いなくハーンの主張に反論するだろう。
だが、こうした背景があるにもかかわらず、マッチルーム代表のハーンの指摘は一理あるのかもしれない。
「この階級で“金を生む”のは彼だからだ」とハーンはベンを指しながら言った。「だからこそ、皆が彼に挑戦したがっているのだ。」
ウェルター級の4人目の王者は、WBC王座を持つマリオ・バリオスである。ベンが最も欲しているのがこのWBCベルトだ。バリオスは2026年初頭にもガルシアと対戦する見込みであり、ハーンは勝者とできるだけ早くベンをマッチアップさせようとしている。
今回のユーバンク戦の再戦でベンは159ポンド1/4で計量を終えており、ウェルター級復帰には大幅な減量が必要となる。ベンは年末年始をゆっくり楽しんだ後、来年5月か6月頃の試合を見据えることになるだろう。
英国でヘビー級以外で最も知名度の高いボクサーであるベンと、ガルシアが勝利した場合の対戦となれば、それだけで“即興のビッグイベント”となる。バリオス対ベンもベンのキャリア上重要な一戦ではあるが、ガルシア戦ほど商業的な巨大規模にはならない。
クロッカー対ベンは英国で屋外開催すれば国内的には盛り上がるが、ガルシア戦ほど国際的な吸引力は持たない。一方で、ロメロ、ヘイニー、ノーマンのいずれも、ベンが今戦った試合のような観客動員力を持っていない。
だが、父ナイジェルが保持したのと同じ緑と金のWBCベルトを手に入れたいという思い、そして自分自身がランキング4位に位置しているという事実を踏まえると、ベンが追い求める道はほぼ一つに絞られる。
「彼は自宅のジムで練習するたびに、壁に飾ってある父親のWBCベルトを見ている」とハーンは語った。「彼は“自分も必ずこのベルトを手にする”と言っている。バリオス戦も、クロッカー戦も、ヘイニー対ノーマンの勝者もいるが、彼は素晴らしい立場にいる。彼には大きなファン層があり、我々の背後には優れた放送局もついている。」
“この階級で最大の金を生む存在”──その表現も、実は突飛なものではないのかもしれない。