ニューヨーク発 —
リチャードソン・ヒッチンズが次戦で12対1のオッズで有利とされているのには、それなりの理由がある。
ブルックリン拠点のヒッチンズは、前戦で当時無敗だったオーストラリアのリアム・パロを圧倒して判定勝ちし、IBFジュニアウェルター級王座を獲得した。
次戦の相手ジョージ・カンボソスは、2021年11月にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン内のシアターで
テオフィモ・ロペスをスプリット判定で破り、人生を一変させて以来、王者レベルの相手に勝利していない。
カンボソスはまた、2022年にデビン・ヘイニーという背が高くテクニックに優れた相手と12ラウンドのライト級タイトル戦を2度戦い、いずれも苦戦した。ヒッチンズの実績と、ロペス戦以降のカンボソスの戦績を踏まえると、ヒッチンズ対カンボソス戦に設定されたオッズは妥当なものと言える。
ヒッチンズのプロモーターであるエディ・ハーンは、この6月14日にシアター・アット・マディソン・スクエア・ガーデンで行われるジョージ・カンボソス(22勝3敗、10KO)とのオプション防衛戦が、単にプロ通算20勝目を挙げること以上の意味を持つと理解している。
「リチャードソンには、見栄えのする勝ち方をして、トゥルキ・アラルシク殿下や関係者の目を引くというプレッシャーがかかっている」と、ハーンは『ザ・リング』誌に語った。「もし彼が圧倒的な内容で勝てば、ビッグファイトを手に入れる絶好のポジションにつけると思う」
無敗のヒッチンズ(19勝0敗、7KO)は、WBOとザ・リングのジュニアウェルター級王座を保持するテオフィモ・ロペス(22勝1敗、13KO)との王座統一戦を切望している。2016年オリンピアンでもある27歳のヒッチンズは、ザ・リング誌で同階級の1位コンテンダーにランクされている。
一方のロペスは、無敗のジャロン“ブーツ”エニス(34勝0敗、30KO、1無効試合)が保持するウェルター級王座への挑戦を見据えている様子だ。いずれにせよ、ヒッチンズがより注目度の高い試合や大きな報酬を望むのであれば、本来なら避けたがるようなリスクある試合に挑む必要があると、マッチルーム・ボクシング会長のハーンは考えている。
「結局のところ、すべては“商品価値”なんだ」とハーンは語る。「ファンは素晴らしくてスリリングな試合を観たいと思っている。リチャードソンも良い試合はしてきたけど、彼には“打って打たれない”というスタイルがある。それを積極的にアピールする選手たちがいて、ヒッチンズもその一人だ。シャクール(スティーブンソン)も時にそうだし、とくにテレンス・クロフォードがそうだね」
「彼らは、観客を喜ばせるためだけにバカなミスをして被弾したいとは思っていない。でもプロモーターとしては、それが評価される“商品”であることも知っている。だからこそ私は、シャクールにとってはウィリアム・セペダ(7月12日)が適任だと思うし、ヒッチンズにとってはカンボソスが最適だと考える。彼は勝ちに来るからね」
Keith Idec はザ・リング・マガジンの上級記者兼コラムニストであり、
X(旧Twitter)では @idecboxing で連絡を取ることができる。