【ニューヨーク発】──
デビッド・ベナビデスは、ここ数か月の間で次戦のプロモーションを
アンソニー・ヤードと共に進めることになるとは思っていなかった。
先週半ばまで、ベナビデスは秋に別の英国人ライトヘビー級選手との対戦が決まると信じていた。
『The Ring IV』のメインイベントとして予定されていた一戦に、カラム・スミスが同意しなかったことが明らかになると、アンソニー・ヤード陣営はトゥルキ・アル・シェイクと契約をまとめ、WBC世界ライトヘビー級王者ベナビデスへの挑戦が決定。試合は11月22日、サウジアラビア・リヤドのANBアリーナで行われ、DAZNペイパービューで中継される。
ベナビデス(30勝0敗24KO)は、金曜日の午後、タイムズスクエアのハードロック・ニューヨークで行われた記者会見に先立ち、『ザ・リング』に対し、なぜヤード戦が決まったのかを語った。
「俺たちは
カラム・スミスともアンソニー・ヤードとも戦う準備ができていた」とベナビデスは語る。「正直なところ、カラム・スミスになると思ってたんだ。だからアンソニー・ヤードとの試合が決まったと聞いた時は驚いたよ。なにせカラム・スミスとは何か月も交渉してたと思ってたからな。でも彼とエディ・ハーンの間で何かがあったんだろう……と言ってるわけじゃないが、要は合意に至らなかったってことだ。それでヤードとの契約に進んだんだ。」
フェニックス出身のベナビデスは、ハードパンチャーのヤードが危険な相手であることを認めつつも、スミスのほうが総合的には優れたファイターだと考えている。リバプール出身のスミス(31勝2敗22KO)はプロ12年間で、無敗だった期間を含め敗れたのは2人だけ。それが4団体統一スーパーミドル級王者の
サウル“カネロ”アルバレス(63勝2敗2分39KO)と、元ライトヘビー級統一王者
アルトゥール・ベテルビエフ(21勝1敗20KO)だ。
2020年12月、テキサス州サンアントニオのアラモドームで行われたスーパーミドル級王座戦で、スミスはカネロに判定で敗北。2024年1月にはカナダ・ケベックシティのヴィデオトロン・センターにて、ライトヘビー級タイトル戦でベテルビエフと対戦し、7回TKOで敗れている。
スミス(33歳)は、直近の試合でWBOライトヘビー級暫定王座を獲得している。元WBAスーパーミドル級王者である彼は、2024年2月22日に同じANBアリーナで行われた
ジョシュア・ボアツィ(19勝1敗13KO)戦で、接戦を制して判定勝ちを収めた。
一方、イールフォード出身のアンソニー・ヤード(27勝3敗24KO)は、2023年1月、ロンドンのOVOアリーナ・ウェンブリーでベテルビエフに8回TKO負けを喫している。ヤード(同じく33歳)は、それ以前にもリンドン・アーサー(当時17勝0敗)にスプリット判定で敗れたが、再戦では4回TKOで雪辱を果たしている。さらに2019年8月には、ロシア・チェリャビンスクで行われた試合で、当時の元王者セルゲイ・コバレフ(当時33勝3敗1分)に11回TKOで敗れている。
「俺はどんな試合も簡単だとは思わない」とベナビデスは言う。「イージーファイトなんて存在しない。でも、より意味があったのはカラム・スミスとの試合だった。だから俺はそっちを希望してた。彼はWBO暫定王者だし、正直に言って、より優れたファイターだと思ってる。でもアンソニー・ヤードも十分危険な相手だ。どの試合を見ても、彼が持っているパンチ力は本物だし、負けた相手はすべて一流ばかりだ。だから簡単な試合にはならない。ただ正直に言うと、より優れたファイターはカラム・スミスだと思ってる。」
Keith Idec は『ザ・リング』誌シニアライター兼コラムニスト。X(旧Twitter)@
idecboxing にて発信中。