階級制度は、ボクシングという競技が無秩序になるのを防ぐために存在するといえる。しかし、
コナー・ベンは最近、それを気に留めることもなく、肩をすくめてみせた。
4月26日、ロンドンのトッテナム・ホットスパースタジアムで、ベンはウェルター級を離れ、160ポンド(ミドル級)で試合に臨んだ。通常であれば、彼の関心は同階級か近い階級の相手に向くはずだが、長年のライバルである
クリス・ユーバンク・ジュニアとの対決は、世界タイトルよりも彼にとって重要な意味を持っていた。
しかし
敗北を喫した今、その優先順位に変化が生じているかもしれない。もちろん、ベン(23勝1敗、14KO)はリベンジを望んでいる。ユーバンクのほうが優れたボクサーだとは認めておらず、それを証明する決意を固めている。その一方で、ジャロン・エニスとの対戦という考えにも心が引かれている。
ザ・リング、IBF、WBAの王者であるエニス(34勝無敗、30KO)は、ほんの数週間前、エイマンタス・スタニオニス
相手に圧勝し、その強さを誇示した。彼と戦いたがるボクサーは多くない。しかし、ベンは普通のボクサーではない。
「その試合は実現できる」と、ベンは『ザ・リング・マガジン』の単独インタビューで語った。「俺たちは同じプロモーターのもとにいるんだから、試合は組めるさ」
エニス(27歳)は、誰とでも戦いたいわけではない。彼の関心は主にタイトルの獲得にあり、それはつまり、WBO王者ブライアン・ノーマン・ジュニアや、WBC王者マリオ・バリオスといった同階級の他の王者たちに焦点を絞っているということだ。
ベンにも、望めばチャンスが巡ってくる可能性はある。彼はウェルター級の各団体で高いランクに位置しており、さらにファン層も拡大し続けている。最終的に、主導権はエニスの側にはない。
ベンには、じっくりと考える時間がある。そしてまだ最終的な決断はしていないが、クリス・ユーバンク・ジュニアが笑顔で挑発してきたあの瞬間が、今も悪夢のように彼の脳裏をよぎる。第1戦の結果を受け入れるしかないが、彼にはそれを正す機会が残されている。
「一番の焦点は、ユーバンクとの再戦を実現させることだ」